最後まで期待したのに!これは伝記映画?
久しぶりにちゃんと(?)映画を見ました。
事前情報ゼロ状態で見に行ったのですが、最後の最後まで、じゃなくエンドロールあたりまでですね、ジュリアン・シュナーベル監督が何を撮ろうとしているのかつかみきれませんでした。
つまり、ずっと最後まで期待して見続けたのにってことなんですが、結局は、実話に基づくミラルの成長物語ってことだったんですね。何だか、伝記物語を読み聞かされているような気分でした。
ミラルが入ることになるダール・エッティフル(子どもの家)の創設者ヒンドゥ・ホセイニの話から説き起こされ、続いては、ミラルの母親が性的暴行を受けて家を飛び出すシーンに突然変わり、誰が誰だかよく分からないままミラルが生まれており、やがて母親は入水自殺、ミラルはダール・エッティフルにあずけられることに―。
ほとんどのシーン、ほとんどの人物が詰め切れていない感じです。結構いい俳優さんが出てきますので、それぞれのカットは何か意味ありげな感じで撮られているのですが、それらが流れの中にうまくおさまりません。たとえば、ウイレム・デフォーが演じているエディは多分ヒンドゥが好きなんでしょうが、扱いが中途半端な感じです。この人物を出す必要があるんですかね? 母親ナディアについてもいろんなことが細かいカットで語られますが、一向に人物が浮かんできません。ナディアが刑務所で会うファーティマも同様、甥のサミールとユダヤ人の恋人リサとの関わりももっと突っ込んで描いてもらわないとパレスチナ問題の抱えているものが見えてきません。
といったわけで、上げればきりがないのですが、大量に撮ったフィルムを編集であれもこれもともてあましている感じです。ミラルを演じたフリーダ・ピントがとてもいいだけに残念です。