カンフーやブラック・サバスや宗教というよりもラファエルとリタのラブストーリーかも… なかなか難しい映画だった「ノベンバー」のライナル・サルネット監督です。この「エストニアの聖なるカンフーマスター」を見ますとその難しさの理由が氷解します(笑)。エストニアの聖なるカンフーマスター / 監督:ライナル・サルネット明らかに見ている...
レイモンドは神になり、ダニエルはカニバリズムの夢に溺れ、エミリーは神の国から追放される… つい半年前に「哀れなるものたち」を見たばかりのヨルゴス・ランティモス監督です。たまたま公開が重なったというわけではなく制作もわりと近接しているようです。その「哀れなるものたち」は幼稚でつまらない映画でしたが、こちらはきっちり映画になっています。でもよくわからないし、面...
「原作に乱暴」過ぎないか… 吉田修一さんの『愛に乱暴』が映画化されることを知り、わざわざ原作を読み…、というわけでもなく、吉田修一さんの小説はほとんど読んでいるのにこの『愛に乱暴』を知りませんでしたので読んだということで、その結果、原作を読んで映画に臨んだ(笑)みたいなことになりました。愛に乱暴 / 監督:森ガキ侑大こんな...
原作を読みたくなるが、映画はダイジェストを見ているよう… オーストリアの作家ローベルト・ゼーターラーさんの「ある一生 A Whole Life」の映画化です。2016年にブッカー賞の候補になっている小説です。ある一生 / 監督:ハンス・シュタインビッヒラー原作を読みたくなるが…1900年代初頭から1980年くらいま...
最優秀俳優賞受賞も納得の藤竜也さんと曖昧な映画の主題… 前作「コンプリシティ 優しい共犯」のレビューには「日本映画には珍しいセンスの良さが光る」とか「次回作への期待が大きい監督」と書いた近浦啓監督の長編第二作「大いなる不在」です。大いなる不在 / 監督:近浦啓藤竜也さんにつきる…藤竜也さんが昨年2023年のサン・セ...
よく練られたシナリオだが、やや盛り込み過ぎか… 「ホウ・シャオシェンが製作総指揮を務め、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ」シャオ・ヤーチュアン監督と日本の公式サイトに紹介されています。2012年に「台北カフェ・ストーリー」という映画が日本でも公開されています。オールド・フォックス 11歳の選択 / 監督:シャオ・ヤーチュエン...
新垣結衣と早瀬憩の俳優力と瀬田なつきの演出力で2時間20分見せ切った映画… こうした当て字を使うセンスには抵抗を感じるのですが、それも原作漫画のことですし、瀬田なつき監督と新垣結衣さんの名前で見てみました。ことのほか人物がしっかり描かれたいい映画でした。違国日記 / 監督:瀬田なつきやはり俳優を信じることが映画の基...
事実をもとにしているというのならもう少し真剣に向き合ってください… このところネット上で河合優実さんの名前を目にすることが多くなっています。私の場合、ふっと目がいくのは、山中瑶子監督が今年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した「ナミビアの砂漠」の主演俳優という記事です。山中瑤子監督のデビュー作「あみこ」のレビューには「こういう才能が継続的に映画...
ゼロ・トレランス教育への視点のないあざといサスペンス映画… 今年2024年のアカデミー賞国際長編映画賞に「関心領域」や「PERFECT DAYS」とともにノミネートされた映画です。また、2023年のドイツ映画賞では最優秀長編映画賞や監督賞、脚本賞を受賞しています。映画としての評価は高いということです。たしかにサスペンスものとしてはとてもうまくできて...
やり過ぎたらバランスが壊れてしまった… 濱口竜介監督の「悪は存在しない」、昨年2023年のヴェネチア国際映画祭で審査員グランプリの銀獅子賞を受賞している映画です。悪は存在しない / 監督:濱口竜介やり過ぎたらバランスが壊れる…「やり過ぎたらバランスが壊れる」映画の中で巧(大美賀均)がグランピング開発業者につ...
連れ去りはともかく、0歳からのユダヤ教も6歳からのキリスト教もどちらも強制的… マルコ・ベロッキオ監督、現在84歳です。60年のキャリアがある監督ですが、日本でよく知られるようになったのは2000年以降じゃないでしょうか。私が見ているのも2003年の「夜よ、こんにちは」や2009年の「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」からです。...
ハリーはアダム… 前々作の「さざなみ」がもうひとつでしたので、次の「荒野にて」をスルーしたところ、後に DVD で見てみましたらとてもよかったというアンドリュー・ヘイ監督です。この「異人たち」は山田太一さんの長編小説「異人たちとの夏」が原作です。異人たち / 監督:アンドリュー・ヘイ映画という表現形態が生きる題材…...
父親のクローンにはなりたくない… ブランドン・クローネンバーグ監督、その名前からわかるとおりデヴィッド・クローネンバーグ監督の息子さんです。そんな紹介をされてしまうのは可愛そうだとは思いますが、本人も相当意識していると思われます。2012年「アンチヴァイラル」2020年「ポゼッサー」に続く3作目です。インフィニティ・プール / 監...
あのシャッフル編集では人物像が浮かび上がってきません… 今年2024年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門受賞の映画です。オッペンハイマー / 監督:クリストファー・ノーランセキュリティ・クリアランスクリストファー...
漫画のコマ割りのようなつくりの映画… なんとなくビジュアルにひかれてポチッとした映画です。愛のゆくえ / 監督:宮嶋風花沖縄映画祭クリエイターズ・ファクトリー沖縄映画祭関連の映画のようです。下は公式サイトからの引用です。「島ぜんぶでおーきな祭沖縄国際映画祭」で実施されている次世代を担う25歳以下の若手映...
アメリカ映画らしい熟年夫婦の会話劇、許す?別れる?結婚する?… ダイアン・キートン、スーザン・サランドン、リチャード・ギア、ウィリアム・H・メイシー、平均年齢75.75歳の俳優たちが二組の熟年夫婦を演じる映画です。アバウト・ライフ 幸せの選択肢 / 監督:マイケル・ジェイコブスマイケル・ジェイコブス監督って誰? こ...
あらためて前田敦子さんの力を感じる映画… 三島有紀子監督の映画は「幼な子われらに生まれ」と「Red」を見ていますが、私には昭和価値観の監督という印象が強いです。二作とも原作ものですので実際にどうかはわかりません。この映画についてチラチラと目にするところでは、自らの過去とか性暴力という言葉が入ってきますので見る前から気が重くなってきます。でも、前田敦...
哀れなるものはこの映画の製作者(制作者)たちかもね… 「女王陛下のお気に入り」「聖なる鹿殺し」のヨルゴス・ランティモス監督の最新作、昨年2023年のヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞受賞作です。主演のエマ・ストーンさんがプロデューサーに名を連ねていますし、エンドロールで彼女の制作会社フルーツ・ツリーのロゴが流れていましたので製作にも深く関わっているものと思わ...
ヨーロッパで売るべき映画だと思いますが… ジョージア(旧グルジア)のキストと呼ばれるチェチェン系ジョージア人の暮らしを追ったドキュメンタリーです。監督は竹岡寛俊さんという方で、ネットにはこの映画以外には情報がないですね。アダミアニ 祈りの谷 / 監督:竹岡寛俊ジョージアとパンキシ渓谷ジョージアは2015年までは日本...
ギャスパー・ノエ監督の映画への真面目さを強く感じる感傷なき死の描写… ギャスパー・ノエ監督は、「アレックス」「CLIMAX クライマックス」「ルクス・エテルナ 永遠の光」と見てきた私の中では真面目な監督という位置づけになっています。この映画もこれ以上ない真面目さで人の「死」、最期というものを描いています。おすすめ映画に入れていますが、決して楽しい映...