後半は今どきのテレビドラマの最終回のような説明シーンの連続攻撃だった… 「君が君で君だ」を見てびっくりし、それ以降はその名を見れば必ず見てみようとなる(けれど見るのはときどきの…)松居大悟監督です。なぜ「君が君で君だ」が気になっているかと言いますと、私などではとても思いつけない発想がてんこ盛りの映画だからです。ただ、その後はなかなかその感覚に出会えません。...
鈴木唯さんに頼りすぎて失われたもの… 前作「PLAN75」が2022年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門でカメラドールのスペシャルメンション(特別賞)を受賞した早川千絵監督、この「ルノワール」は今年2025年の同じくカンヌのコンペティションに出品されています。誰か強く推す人がいるということなんでしょう。ルノワール / 監督:早川千...
映画のつくり手たち自身に従来の社会規範が内在化しているのでは… 何も知らずに見た映画です。パク・サンヨンさんの『大都会の愛し方 대도시의 사랑법』という短編集の一作『ジェヒ』を原作としているとのことです。「ゲイの恋愛をリアルに描きながら、普遍的な要素を重ねて(LONELINESS BOOKS)」いると紹介されています。この小説は2022年の国際ブッ...
こんなレストランには行きたくないと思わせたらダメでしょう… レストランの調理場を舞台にした映画で最近のものといえば「ボイリング・ポイント/沸騰」があります。全編ワンショットで撮られたせわしいノンコンセプト映画ですのであまりお勧めしませんが(ゴメン…)、この「ラ・コシーナ」はアーノルド・ウェスカーの『調理場』にインスピレーションを得てつくられたとのことですの...
この映画が描く一面だけではなくリー・ミラーの全人生を知りたくなる… リー・ミラーというアメリカ人の写真家の半生を描いた映画です。「シビル・ウォー アメリカ最後の日」でキルステン・ダンストさんが演じた従軍カメラマンのモデルとなった人らしいです。たしかに役名はリー・スミスとなっています。この映画のキービジュアルになっている上の画像の浴室はヒトラーの浴室...
偏見差別よりもラブストーリー、エンディングはちょっと… 「ヒゲを生やした女性」と表現されていますが要は多毛症の女性ということで、クレマンティーヌ・デレさんというフランスに実在した方をモデルとした映画です。そのクレマンティーヌ・デレさんのウィキペディアをみますと写真なども残っていますし、ヒゲに誇りを持っていたという記述もあり、かなり力強く生きた方のよ...
深瀬昌久さんではなく浅野忠信さんになってしまう… 「レイブンズ Ravens」とはカラスのことです。1986年発刊の写真集『鴉』で知られる深瀬昌久さんという写真家を描いた映画です。知らない方ですので興味があることや浅野忠信さん主演ということもあるのですが、その実、この映画を見ようと思った一番の理由は瀧内公美さんはその後どうなっているのかなということです。...
生者と死者の上にピンクの雪が舞い積もる… 昨年2024年のヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞受賞作です。新作を発表すればなにがしか賞をとっている印象の強いアルモドバル監督ですが、三大映画祭と言われるカンヌ、ベルリン、ヴェネツィアで初の最高賞受賞です。ザ・ルーム・ネクスト・ドア / 監督:ペドロ・アルモドバルアルモドバル監督ら...
心に本当の痛みを抱えた厄介なやつ… ジェシー・アイゼンバーグさん、2022年の「僕らの世界が交わるまで(When You Finish Saving the World)」に続く監督作2作目です。その前作のレビューには「いずれ大作を撮ることになる予感がします」なんて書いており、この「リアル・ペイン」は大作というわけではありませんが、やはり映画センスの良さが...
綾瀬はるかさんじゃなくてもいいんじゃないの… 綾瀬はるかさんの名前を見てポチッとしましたが、「こちらあみ子」の森井勇佑監督でしたか。なにせ、その映画、酷評していますので…。ルート29 / 監督:森井勇佑綾瀬はるかさんじゃなくてもいいんじゃない…綾瀬はるかさんを見に行ったのに、という言うわけでもありませんが、このトン...
ギヨーム・ブラック監督、どこへ行く… 知る人ぞ知る(笑)ギヨーム・ブラック監督です。この映画が最新作になるようですが、わずか40分のドキュメンタリーです。リンダとイリナ / 監督:ギヨーム・ブラックギヨーム・ブラック監督どこへ行く…初ギヨーム・ブラック監督がこの映画ですとこれでさようならかもしれませんね(ゴメン…)...
ホラーパターンドラマで描くオーストラリア ワーホリ サスペンス(意味不明)… 「アシスタント」のキティ・グリーン監督、長編劇映画第2作です。1年前に見たばかりなのにもう2作目? と思いましたら「アシスタント」は2019年の製作でした。そのレビューを読み返してみましたら、製作年とともに日本の劇場公開のタイミングが悪いとまで書いていました。忘れるのが早い(涙)...
音楽映画だと思ったら、ギャング映画だった… ファティ・アキン監督は「クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール〜」という音楽映画を撮っていますし、趣味は DJ Superdjango としてクラブに出演することという話もあり、音楽映画だろうと思って見に行きましたら…RHEINGOLD ラインゴールド / ファティ...
法廷劇と思いきや、夫婦間のジェンダー観トラブル、いや実は… 昨年2023年カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作です。監督はフランスのジュスティーヌ・トリエ監督、45歳くらいの方です。過去には短編と3本の長編がありますが、日本での公開はこの映画が初のようです。落下の解剖学 / 監督:ジュスティーヌ・トリエ推測、憶測、そして妄...
結局、客の男を描いているだけじゃないのか… 現実の小説家が新作のために2年間娼婦として働き、その実体験を書き綴ったという小説『La Maison』の映画化です。映画がどうこう以前に、その小説家の行為自体が問題にされたり、描かれる性行為のシーンに注目がいったりしますので、映画としては評価が難しい映画です。オートフィクション『...
よくできた再現ドラマで終わらないために… ドナルド・トランプが大統領に選ばれた選挙(2016年…)にロシアが介入したのではないかという報道は記憶していますが、この映画のような事実があったことは知りませんでした。日本の大手メディア、特に新聞は報道していたのでしょうか。リアリティ / 監督:ティナ・サッターChatGPT にき...
男の意地の後始末をするのは、あるいは、させられるのは女の意地… スペインのロドリゴ・ソロゴイェン監督です。前作の「おもかげ」を見たとばかり思っていましたので目についた映画ですが、見ていませんでした。きっとチラシの画像が印象に残っていたんでしょう。ですので、ロドリゴ・ソロゴイェン監督、初めてです。理想郷 / 監督:ロドリゴ・ソロゴイ...
オペラの映画化で一番やってはいけないパターン この映画の配給会社は映画の内容を偽って売ろうとしているんじゃないかと思っちゃいますね。不当表示に引っかかりませんかね。ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌 / 監督:レイン・レトマーオペラの映画化で一番やってはいけないパターンまあ怒りはともかく、これはミュージカルではありま...
リチャード三世は駐車場の「R」の下に眠っていた… 悪人ほど魅力的というのは映画や演劇の中だけの話だと思いますが、イングランド王リチャード三世もそのひとりで、シェイクスピア『リチャード三世』をベースにした翻案ものが様々あります。そのリチャード三世の遺骨を発見したのはアマチュア歴史家の女性だったという話、それもわずか10年ほど前2012年のことです。...
アクション映画としてはダメだけれど、綾瀬はるかさんひとりでもつ映画… 綾瀬はるかさんは、「海街diary」、それも DVD で見ただけですが、台詞に力のある俳優さんとの印象を強く持ち、その後は注目していてもなかなか見たくなるような出演作がなかったという俳優さんです。やっと、というわけでもありませんが、ハードボイルド系のアクションものもやるんだという...