「傲慢」も「善良」も、え?と言うほどの今どきのラブストーリーでした…『高慢と偏見』が意識されているんだろうと思い興味を持ったのですが、見てみれば、「傲慢さ」もほどほど、「善良さ」にいたっては何のこと? という程度の今どきのラブストーリーでした。傲慢と善良 / 監督:萩原健太郎今どきのラブストーリー…あらすじとして...
菅田将暉さん、窪田正孝さん、古川琴音さん、奥平大兼さんを見に行く(だけの)つもりなら…黒沢清監督って多作な監督ですね。ついこの間「蛇の道」を見たばかりですし、「Chime」という映画も現在公開されているようです。その分なのかどうかはわかりませんが、どの映画も軽めですし、なかなか最後まで面白さが持続する映画がありません(ゴメン…)。...
え? 1977年、フランスではフーコーもサルトルもボーヴォワールもデリダもドゥルーズも性的同意年齢法に反対していた…フランスの作家であり映画監督でもあるヴァネッサ・スプリンゴラさんの2020年の著書『Le Consentement 同意』の映画化です。その著書は、自身が14歳のときから1年あまり、当時49歳(50歳?…)だった作家ガブリエル・マツネフと性...
よくわからない映画でした…韓国のキム・チャンフン監督、長編デビュー作のこの映画が昨年2023年のカンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されています。このろくでもない世界で / 監督:キム・チャンフン物語がよくわからない…18歳のヨンギュは実の母親と再婚相手の男とその娘ハヤンと暮らしているハヤンは学校でいじめ...
クレオのカーボベルデの夏は楽しさと寂しさと…劇場で本編の前に流れる予告編を見ていて、いい表情が撮れているなあと目が止まった映画です。その6歳の少女クレオを演じているのは、撮影当時5歳半のルイーズ・モーロワ=パンザニちゃん、日本の公式サイトには「パリの公園で遊んでいたところをプロデューサーにスカウト」されたとあります。クレオの夏休...
描くべきテーマを映画が隠してしまっているようだ…「生きてるだけで、愛。」の関根光才監督です。映画だけではなく映像に関わる分野で幅広く活躍されている方のようです。6年前のその映画は、趣里さんの面倒くさい女演技と菅田将暉さんのカツラが印象深く記憶に残ってはいるのですが、レビューに何を書いたかは記憶がなく、読み返してみましたら、映像は美しいけれども新鮮さは感じ...
心理劇を期待するも、コメディ? ホラー? スリラー? わかんない…「ハード・コア」以来の山下敦弘監督です。最近は山下監督の名前をみてもそそられる映画がなく、この「告白 コンフェッション」もほぼそんな感じではありますが、ヤン・イクチュンさんが出ているということで見てみました。告白 コンフェッション / 監督:山下敦弘コメデ...
感じさせるだけの情感もなく、考えさせるだけのわかりやすさもなく…何度見せられたかわからない予告編以上のものはあるのか? と思うくらい印象深い予告編、そして音楽という映画です。アウシュビッツを描いた映画は数え切れないほどありますが、まだこうした切り口があったかと期待は高まります。関心領域 / 監督:ジョナサン・グレイザー感...
ダルデンヌ兄弟の国のもうひとつの移民の顔…ベルギーのバス・ドゥヴォス監督の2019年の映画です。もう一作、2023年の「Here」と同時公開されています。2014年の長編デビュー作「Violet」以来、長編4作がいずれもがベルリンやカンヌの映画祭で上映されるという注目の監督です。ゴースト・トロピック / 監督:バス・ドゥヴォス...
宗教性はほとんど感じられず、過酷な自然の中では人の争いなど些細なこと…19世紀末のアイスランドを舞台にした映画です。今から150年くらい前ということになります。当時のアイスランドはデンマークの統治下に置かれていましたので、そうしたことからくる人間関係の軋轢が描かれています。ゴッドランド GODLAND / 監督:フリーヌル・パル...
何かが起きる、何かが起きる…そう思うあなたはドラマ病…フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督です。過去に「ローサは密告された」とイザベル・ユペールさんが出演している「囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件」を見ている監督です。2009年の「キナタイ マニラ・アンダーグラウンド」ではカンヌ国際映画祭で監督賞を、そして「ローサは密告された」では主演女優賞を...
ことの重大さを打ち消すかのように軽やかに振る舞うジョイの存在に意味がある…アメリカの連邦最高裁判所が、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆して「妊娠中絶の権利は憲法で保障されていない」とする判断を下したのは2022年6月24日です。そしてこの「コール・ジェーン」がプレミア上映されたのがその年の1月21日のサンダンス映画祭であり、一般公開はその年の10月...
真面目さは感じるが、人物の背景描写がなくダイジェストのよう…海外の監督が日本の物語を日本人の俳優で撮るというのは、最近ではヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」がありますが、あれは日本の企画で監督オファーですのでちょっと違いますし、あまりないですね。パトリック・ディキンソン監督は早稲田大学で日本映画を学んでいたとありますし、なんの...
映画としてはまとまっているが、物語が表層を滑っていく…原作が本屋大賞受賞作ということですし、どこからともなく流れてくる映画の持つ匂いから、おおよそその傾向は想像はついていたのですが、ひとつだけ、え? それなの? という映画でした。どこからともなく流れてきていたのは予告編を見たからと思っていましたが、今トレーラーを見てみましたら見たことのないもので...
吉高由里子さんに感動する…2年前に NHK BS で放映されたドラマの劇場版だそうです。時代もの(大正時代ですが…)のテレビドラマはきれい過ぎて現実感がありませんのでどうしようかと思ったのですが、伊藤野枝の話ですので見ておくべきか…という映画です。風よ あらしよ 劇場版 / 演出:柳川強吉高由里子さんに感動する…...
ラストシーン、コットがダディ、ダディと二度つぶやく父娘の物語…一昨年2022年のベルリン国際映画祭ジェネレーション部門(Kplus)でグランプリを受賞したアイルランド映画です。Kplus は主人公が 4歳以上の映画が対象で、11人の子どもたちが審査するという部門です。主人公が14歳以上になりますと 14plus という部門になり、同じ年に川和田恵真監督の...
モノクロ映像? 東松照明? 長崎? 沖縄? セクシュアリティ? 何を描きたいのでしょう…監督作品としては「パラダイス・ネクスト」「雨にゆれる女」と見てきている半野喜弘監督です。音楽としてはジャ・ジャンクー監督やホウ・シャオシェン監督、日本ですと行定勲監督などの映画で名前をよく見る方です。彼方の閃光 / 監督:半野喜弘映像...
引退宣言を翻しての復帰はロシアによるウクライナ侵略がきっかけでしょうか…2017年の「希望のかなた」以降見ていないなあと思っていたアキ・カウリスマキ監督、引退宣言をしていたんですね。それを翻しての新作、何を思ってのことでしょう。枯れ葉 / 監督:アキ・カウリスマキロシアによるウクライナ侵略かな…多分、ロシアによる...
青春とは「普通」を拒否するがゆえにいつの時代もイタイもの…2001年の映画のリバイバル上映です。といっても、それもよく知らずにポチッとして見てきました(笑)。タイトルにもまったく記憶にありませんし、スカーレット・ヨハンソンを知ったのが2003年の「ロスト・イン・トランスレーション」や「真珠の耳飾りの少女」ですので多分見ていないのでしょう。[toc...
スロベニアの美しき栗の森とそこで生きる人間の挫折、悔恨、あるいは希望…スロベニア映画です。あまり馴染みがない国で地図上の位置もぼんやりですのであらためて確認してみました。1992年まではユーゴスラビア社会主義連邦を構成していた共和国で、西はイタリア、北はオーストリアに隣接する国です。ユーゴスラビアといいますとどうして1990年代の内戦が頭に浮かん...