よくわからない映画でした… 韓国のキム・チャンフン監督、長編デビュー作のこの映画が昨年2023年のカンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されています。このろくでもない世界で / 監督:キム・チャンフン物語がよくわからない…18歳のヨンギュは実の母親と再婚相手の男とその娘ハヤンと暮らしているハヤンは学校でいじめ...
アルモドバル監督のクィア西部劇。パエリア・ウェスタンとなるか… アルモドバル監督が西部劇? さらに短編? という映画です。ただ、短編については2020年に「ヒューマン・ボイス」を撮っていますし、多くの監督がそうであるようにアルモドバル監督もメジャーになる1980年以前にはたくさん短編を撮っています。でも、なぜ今この企画? と思いましたら…[...
エトルリア古代文明幻想に見立てたラブストーリー、あるいは逆でノスタルジックファンタジーかも… 「夏をゆく人々」「幸福なラザロ」のアリーチェ・ロルヴァケル監督です。この「墓泥棒と失われた女神」には「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーさんが主演俳優として出演しています。墓泥棒と失われた女神 / 監督:アリーチェ・ロルヴァ...
女性への性差別、抑圧を視覚化するニナ・メンケス… 今回が日本初公開となる1986年の映画です。「ニナ・メンケスの世界」という企画で3作が上映されており、他に1991年の「クイーン・オブ・ダイヤモンド」、そして2022年の「ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー」が公開されています。マグダレーナ・ヴィラガ / 監督:ニナ・メン...
結局、ナタリー・ポートマン対ジュリアン・ムーアかい… 「メイ・ディセンバー」というのは年齢差のある恋愛関係を意味するスラングらしいです。「メイ」は5月の若さにたとえられ、「ディセンバー」は12月の老いにたとえられるとのことです。メイ・ディセンバー ゆれる真実 / 監督:トッド・ヘインズ好奇の目を避けるための構想だったが…...
最優秀俳優賞受賞も納得の藤竜也さんと曖昧な映画の主題… 前作「コンプリシティ 優しい共犯」のレビューには「日本映画には珍しいセンスの良さが光る」とか「次回作への期待が大きい監督」と書いた近浦啓監督の長編第二作「大いなる不在」です。大いなる不在 / 監督:近浦啓藤竜也さんにつきる…藤竜也さんが昨年2023年のサン・セ...
リュック・ベッソン監督が帰ってきた! リュック・ベッソン監督、なに以来か思い出せないくらい久しぶりです。サイト内を検索しましたら「マラヴィータ」「ルーシー」以来です。10年ぶりのこの「DOGMAN」、すでに自分の撮りたいと思うものがなくなっているんじゃないかと思われるリュック・ベッソン監督ですのでどうなんでしょう。DOGMAN ド...
結局、客の男を描いているだけじゃないのか… 現実の小説家が新作のために2年間娼婦として働き、その実体験を書き綴ったという小説『La Maison』の映画化です。映画がどうこう以前に、その小説家の行為自体が問題にされたり、描かれる性行為のシーンに注目がいったりしますので、映画としては評価が難しい映画です。オートフィクション『...
美しきタイ ナコーンパノムと美しくもほろ苦きユーとミーの青春物語… タイ映画です。タイトルや画像のとおり、双子のユーとミーのちょっとほろ苦い青春物語です。高校生の年齢設定だと思います。制作会社は「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」や「ハッピー・オールド・イヤー」のGDH559です。この会社の映画はどれもレベルが高いです。ふたごの...
フィリップを演じているエリック・クルム・ジュニアさんがすごい… 映画の紹介文からの刷り込みや画像からの印象を捨てて見ますとこれがなかなかすごい映画なんです。まずは「ナチスの妻たちを次々に誘惑」とか「ナチスへの復讐」という言葉を忘れましょう(笑)。フィリップ / 監督:ミハウ・クフィェチンスキ1941年、ワルシャワ・ゲットー...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 フランソワ・オゾン監督の最新作? と思いましたら、違いますね。これは2021年のカンヌのコンペティションに出品された映画で、オゾン監督はその後、2022年のベルリンのコンペティションに「Peter von Kant」を出品し、今年2023年1月にも「Mon crime(The Crime Is Mine)」がフランス...
絶滅収容所を生き延びた実在のポーランド人ボクサーの3年間 アウシュヴィッツへ最初に大量輸送された囚人のひとりでありながら戦後まで生き延びたポーランド人ボクサー、タデウシュ・ピエトシコフスキさんの物語です。1991年に74歳で亡くなっています。アウシュヴィッツのチャンピオン / 監督:マチェイ・バルチェフスキタデウシュ・“テ...
アクション映画としてはダメだけれど、綾瀬はるかさんひとりでもつ映画… 綾瀬はるかさんは、「海街diary」、それも DVD で見ただけですが、台詞に力のある俳優さんとの印象を強く持ち、その後は注目していてもなかなか見たくなるような出演作がなかったという俳優さんです。やっと、というわけでもありませんが、ハードボイルド系のアクションものもやるんだという...
アメリカの真実が真実とは言えない 「ラスト・フル・メジャー」という言葉は、リンカーン大統領の言葉としてよく引用される「人民の、人民による、人民のための政治」が語られたと同じ演説の中の言葉ということです。南北戦争史上最大の戦いと言われる1863年のゲティスバーグの戦いの4ヶ月後に行われた国立戦没者墓地の奉献式でのゲティスバーグ演説です。ラスト・フル・メジャー ...
現代的ジェンダー観で描く1930年代風スクリューボール・コメディ… フランソワ・オゾン監督の多作さと多彩さには驚くばかりです。1年1本ペースですし、内容もシリアスもの、告発もの、そしてこの映画のようなコメディと幅広く、とにかくすごい監督です。今年日本で公開された映画はこれで3本目です。2021年製作の「すべてうまくいきますように」、2022年製作の...
クレオのカーボベルデの夏は楽しさと寂しさと… 劇場で本編の前に流れる予告編を見ていて、いい表情が撮れているなあと目が止まった映画です。その6歳の少女クレオを演じているのは、撮影当時5歳半のルイーズ・モーロワ=パンザニちゃん、日本の公式サイトには「パリの公園で遊んでいたところをプロデューサーにスカウト」されたとあります。クレオの夏休...
どう考えても理不尽なことなのに、それをスクリーンで見ているだけの居心地の悪さ… 「ソハの地下水道」「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のアグニエシュカ・ホランド監督です。前作の「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」では、ホロドモールというスターリン時代のソ連邦によるウクライナの人為的な飢餓を知りました。そして、この「人間の境界(Green Border)」で...
感じさせるだけの情感もなく、考えさせるだけのわかりやすさもなく… 何度見せられたかわからない予告編以上のものはあるのか? と思うくらい印象深い予告編、そして音楽という映画です。アウシュビッツを描いた映画は数え切れないほどありますが、まだこうした切り口があったかと期待は高まります。関心領域 / 監督:ジョナサン・グレイザー感...
謎解きでもなく、ドキドキ感を煽ることもなく、なのに面白い… 前作「悪なき殺人」では、2019年の東京国際映画祭で最優秀女優賞と観客賞を受賞していたドミニク・モル監督です。この「12日の殺人」では、昨年2023年のセザール賞で作品賞、監督賞、助演男優賞、有望若手男優賞、脚色賞、音響賞を受賞しています。期待できそうです。12日の殺人 ...
表現主義的、絵画的ヴィジュアルで描かれる1920年の悪夢的ウィーンの街… なぜ邦題を「ヒンターランド」ではなく「ヒンターラント」としているのかと思い、ドイツ語の発音を調べてみましたら、確かに「ラント」のほうが近いですね。ドイツ語のオーストリア映画ですので、おそらくそうした理由からでしょう。「ヒトラーの贋札」のステファン・ルツォヴィツキー監督です。2...