特に期待したわけではありませんが、ラッセ・ハルストレム監督にユアン・マクレガーと来た日にゃ見るべきでしょうと出掛けたのですが、「なんだこりゃ!?」と思わず笑ってしまいました。
砂漠の国イエメンで、鮭釣りがしたい──そんなバカげた仕事を依頼された水産学者のジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)。持ち込んだのはイエメンの大富豪の代理人、コンサルタントのハリエット(エミリー・ブラント)。不可能!と一蹴したものの、英国外務省も中東との緊張緩和のために支援を決定、首相まで巻き込んで荒唐無稽な企画が立派な国家プロジェクトに急展開!果たして、マトモな大人ならとっくに諦める、ムチャな夢物語の行方は──?
…なんて話からして多くを期待したわけではありませんが、それにしてもオーソドックスすぎるというか、生真面目というか、今どきこれはさすがに陳腐でしょう。
コメディにしようかヒューマンドラマにしようか迷ったんでしょうか? 始まって30分ほどは、内容はともかくコメディタッチでテンポもあって結構見られたんですが、ジョーンズと妻の間のすきま風やハリエットの恋人がアフガンで行方不明なんて話が出始めてからは、いきなりテンポが落ちてもう見ていられません。
それにアラブの富豪の人物像は、何だか子供のころに見たテレビドラマに出てくるようなどこかの国の王様みたいな、とてもいい人で、それも外国の王様なのに日本人がやっているみたいなキャラクターで、ホントに笑ってしまいました。その意味では成功なのかな(笑)?
ん? ひょっとして、それを狙ったのに俳優が突き抜けられずに中途半端になった? それはあるかも…。
そうですね、ユアン・マクレガーの軽い演技はまあよかったですし、イギリスの首相の広報担当をやっていたクリスティン・スコット・トーマスなんて「ずっとあなたを愛してる」や「サラの鍵」に出ていたなんて思えないほどはじけていました。ああ、エミリー・ブラントは残念ながらミスキャストですね。
まあ何はともかく、たまにはこういう映画も良いもんです(笑)。