チャップリンからの贈りもの/グザヴィエ・ボーヴォワ監督

エディ役のブノワ・ポールブールドさんの寂しさをたたえた雰囲気と涙目の小さな目がチャップリン

チャップリン、何となくその人そのものを知っているような感じがするのに、実は何も知らない人物の一人です。特に赤狩りでアメリカから追放されてからの晩年のことは全く知りませんでした。スイスで亡くなっていたんですね。

それに、この映画の下敷きとなっているチャップリンの棺盗難事件というのも実際にあったことなんですね。

1977年12月25日。世界の喜劇王チャーリー・チャップリン死去。 スイス・レマン湖畔。お調子者のエディの親友オスマンは、娘がまだ小さく妻は入院中。医療費が払えなくなるほど貧しい生活を送っていた。そんな時テレビから“喜劇王チャップリン死去”という衝撃のニュースが。エディは埋葬されたチャップリンの柩を盗み身代金で生活を立て直そうと、弱気のオスマンを巻き込んで決死の犯行へ。
ところが、詰めの甘い計画は次々にボロを出すばかりか、ツキのなさにも見舞われて崩壊寸前。あきらめかけた時、追詰められたオスマンが最後の賭けに出た。人生どん底の2人に救いの手は差し伸べられるのか――。(公式サイト

エディ(ブノワ・ポールブールド)とオスマン(ロシュディ・ゼム)ふたりのシーンがかなり多いのですが、特に、チャップリンの棺を盗み終えた(?)後の車の中、顔だけにうっすらと光があたって、無言の中少しづつ余裕ができて顔が緩んでいくところとか、その後、不安になった夜、ラジオの音に合わせて踊るエディにつられ、ぎこちなく自分も踊り出すオスマンのシーンとか、この二人、それに忘れちゃいけません、しっかり者で賢そうなオスマンの娘サミラ(セリ・グマッシュ)、俳優たちがとてもいいです。

それに、チャップリンの「孫娘のドロレス・チャップリンがチャップリンの娘役を演じるという夢のようなシーンが実現。さらに息子のユージーン・チャップリンもサーカスの支配人役として出演(公式サイト)」しています。

後半、エディがサーカスのクラウンにリクルートされるという、ちょっとばかり意表をついた展開になりますが、ブノワ・ポールブールドさんの寂しさをたたえた雰囲気と涙目の小さな目で特に違和感なくしっくり収まっていました。

チャップリンをイメージした役作りなんでしょうね。

そうそう、サーカス団の団長として、カトリーヌ・ドヌーヴとマルチェロ・マストロヤンニの娘キアラ・マストロヤンニさんが出ていました。

ということで、チャップリンへのオマージュとして見れば、非常に良く出来た映画だとは思います。ラストもほどよくハッピーでよかったです。

ただ、(私には)多少展開がかったるく、もう少しテンポを上げるか、行き先をはっきりさせてくれれば、さらに楽しめた映画ではありました。

チャップリンからの贈りもの(字幕版)

チャップリンからの贈りもの(字幕版)

  • 発売日: 2016/02/02
  • メディア: Prime Video