冒頭30分くらいでしょうか、夫が強制労働から逃げ帰って妻に会いに来るくだりは緊迫感もありかなり見応えがあります
- 出版社/メーカー: ギャガ
- 発売日: 2016/12/02
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泣けますし、と言っても泣かせようとしているのではなく自然に涙が流れてしまうのですが、当然ながら涙だけではないしっかりしたつくりで安心して見ていられます。考えてみれば「赤いコーリャン」しか見ていないチャン・イーモウ監督ですが、さすがとは思います。
冒頭30分くらいでしょうか、ルー・イエンシー(チェン・ダオミン)が、時代的には文革の下放ではなく57年頃の反右派闘争のようですが、強制労働(?)から逃げ帰って妻のフォン・ワンイー(コン・リー)に会いに来るくだりは緊迫感もありかなり見応えがあります。
1977年、文化大革命が終結。20年ぶりに解放された陸焉識(ルー・イエンシー)は妻の馮婉玉(フォン・ワンイー)と再会するが、待ちすぎた妻は心労のあまり、夫の記憶だけを失っていた。焉識は他人として向かいの家に住み、娘の丹丹(タンタン)の助けを借りながら、妻に思い出してもらおうと奮闘する。
収容所で書き溜めた何百通もの妻への手紙をくる日も彼女に読み聞かせ、帰らぬ夫を駅に迎えにいく彼女に寄りそう。夫の隣で、ひたすら夫の帰りを待ち続ける婉玉。果たして、彼女の記憶が戻る日は来るのか──?
ただ、その後の二人の関係や展開は単調で、冒頭の30分に比べると物足りないですね。
それに、一番気になったのは音楽の使い方です。たとえば、夫が妻の記憶を取り戻そうとピアノを弾くシーンがあり、かなりいい場面なんですが、一瞬記憶を取り戻したかと夫の手が止まり、当然ピアノの音が消えるわけですが、何とそこに、確か弦の音だったと思いますが別の音楽がかぶってくるのです。
いらないでしょう。
それにしても、中国における文革の描き方というのは、日本における太平洋戦争の描き方に似ています。
実体の(描かれ)ない強大な力に、無力な個人が抑圧され、夫婦や親子や家族が引き裂かれる悲劇…。