そんなには褒めないよ。映画評

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さようなら

(DVD)アンドロイドに話題がいきますが、ブライアリー・ロングさんの映画ですよね

2018/08/02

「海を駆ける」ではほとんどいいことを書いていませんが、深田晃司監督の映画は結構見ていますし、評価(偉そうですが)も高いです。

で、その記事にも書いた通り、DVDで見たこの「さようなら」が一番印象に残っています。ただ、公開時は、「人間とアンドロイドが舞台上で共演する画期的な演劇プロジェクト」の映画化というコピーと「人間とアンドロイド」の共演というのが何となく、ほんとに何となく引っかかって見ずに終わっていました。

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今回、もう一度見直してみました。

静かに世界が終わっていく感じがとてもいいです。

簡単に内容を書いておきますと、

原発の爆発により、ほぼ日本全体が汚染され、政府は国土を放棄する決断をし、国民を海外へ避難、と言いますか、戻れないのですから移住、難民としてですが、受け入れ国を探し、政府が国民の脱出順序を決めているという近未来が背景となっています。

そのひとり、ターニャ(ブライアリー・ロング)は南アフリカからの難民として幼い頃に両親とともに日本にやってきています。すでに両親はなく、ターニャは、幼い頃に父親が買い与えてくれたアンドロイドのレオナとともに、一面すすきが覆い尽くす野っ原の一軒家で暮らしています。

ターニャは難民であることから、脱出の優先順位は低いものと諦めています。放射能の影響なのか、時々咳をし、徐々に身体も弱ってきているようです。

佐野(村田牧子)という女性が時々様子を見に来ます。今日も、脱出の抽選を見に行こうと誘いに来ます。やはり二人とも名前はありません。佐野は、自分は過去にネグレクトで子どもを殺していると語り、自分に順番が回ってくることはないとつぶやきます。

ターニャには敏志(新井浩文)という恋人がいます。敏志は、実家の様子を見に行ってきたと立ち寄り、どうだったと尋ねるターニャにもどこかぎこちなく返します。

ターニャが何気なく「結婚しませんか?」と尋ねますと、敏志はやや戸惑いながらも「ああ、いいよ、結婚しよう」と返します。

後日、佐野から、敏志は家族とともに日本を脱出していったと聞かされます。ターニャの表情が変わることはありません。

中止となっていた村の盆踊りが室内に移され開催されます。外では突然激しくロックが鳴り響きます。皆、静かではあってもどこか狂ったように外に飛び出し踊り狂います(ちょっと違うかも)。盆踊り用に準備してあった櫓に火が放たれ燃え上がります。

じっと炎を見つめる佐野、ふと歩き始めた佐野は火に飛び込みます。(暗いのでよくわかりませんが、多分)ターニャの表情が変わることはありません。

そして、ターニャとレオナのダイアログの日々。

やがて、ソファに横たわったターニャは静かに朽ちていきます。本当に朽ちていきます。動きが止まり、皮膚が落ちていき、骨が見え始め、やがて骸骨だけになります。レオナはじっと見つめたままです。

このシーンはいいですね。

この後、レオナが外に出て、竹の花を見に行くのですが、一観客の余計なことではありますが、なくてもいいです(ペコリ)。

ターニャをやっているブライアリー・ロングさんがとてもいいです。って、ググってみましたら、吉本興業の所属ですか!?

コンテンポラリーダンスをやっていた(いる?)という経歴からなのか、ふわっとした存在感があります。原作となっている舞台版「さようなら」でもターニャをやっていたそうです。台詞回し(回していませんが)もいいですね。演技とは何かを考えさせられます。

対象的な新井浩文さんの演技がすごく気になります。後に自分だけ逃げることを隠しているという演技が鼻につきます。

上のあらすじでは省略しましたが、ターニャと佐野が道の途中で出会い、車に同乗させるカップルがいるのですが、男の村上虹郎さん、短いシーンですが、ターニャとの会話のシーン、このシーンもかなりいいです。他の者は皆死を待っている(ように見える)存在なんですが、その中にあって、実際は彼も死を待っているのでしょうが、ただひとり、気持ちが開放される存在です。

もともと原作が「ロボット演劇」といわれるプロジェクトで、当然この映画もレオナについて語られることが多いと思いますが、私はそのことにあまり意味は感じなく、この映画はブライアリー・ロングさんの映画だと思います。

冒頭、ソファに横たわるターニャと、ほぼラスト、横たわりながら死にゆくターニャ、対になっていますが、何度見ても飽きません。


人間×アンドロイド!平田オリザの戯曲を映画化『さようなら』予告編

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