あの「最強のふたり」を超え、フランスで年間No.1の大ヒット!
2025年の大晦日に見た映画です。「宝石泥棒の親子が、障がい者施設のサマーキャンプに逃げ込んだことから巻き起こる騒動を描き、フランスで大ヒットを記録したハートフルコメディ(映画.com)」との紹介文だけでほぼ内容が想像できてしまう映画です。

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ネタバレあらすじ
それでも「フランスで2024年年間興行収入No.1、1080万人動員(フランス国民の7人に1人)、公開から7週連続No.1、公開初日の動員数ではあの『最強のふたり』を大きく上回りフランス映画史上歴代2位――(公式サイト)」ということは、内容は想像できてもおもしろいなにかがあるということでしょう。
これもそのひとつでしょうか――、
おもしろいことというわけではありませんが、障がい者の役を演じているのがオーディションで選ばれた障がい者たちということで極めて自然な気持ちで見られます。健常者が障がい者を演じているものを見るときのなんとも言えない心のざわつきがありません。それにこの映画ではそれぞれ人物設定された主要な役として映画全編に絡んできます。
監督はアルテュスさんというフランスのスタンダップコメディアンの方だそうです。監督、脚本とともに泥棒親子の息子パウロも演じています。
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パウロ、障がい者のふりをする
障がい者の一団がサマーキャンプに出発しようとしています。引率するのは支援員でリーダーのアリス(アリス・ベライディ)にマルク(マルク・リゾ)とセリーヌ(セリーヌ・グルサール)の3人です。レクリエーションということもあるのでしょう、皆どことなくハイテンションです。集合場所の障がい者用駐車スペースに駐車している車があります。誰でしたか(記憶にない…)レッカー移動を要請しています。
同じ頃、ラ・フレーズ(クロヴィス・コルニアック)とパウロ(アルテュス)の親子が宝石店へ強盗に入っています。その逃げ際、パウロは縛り上げていた客の男女が婚約指輪を買いに来たことを知るや指輪をひとつ投げ与えます。そして店外に出たパウロが覆面を取りますと、店内の鏡に素顔が映りその女性と目があってしまいます。
これ、捕まるときの仕込みかなと思ったんですが違っていました。もう少し洒落ています(笑)。
パトカーのサイレンが聞こえてきます。パウロたちが逃げてきます。障がい者用駐車スペースに車を停めたのはパウロたちでした。しかし車はすでにレッカー移動されています。あたふたするふたりです。
アリスがパウロにシルヴァン? と声を掛けてきます。実は今日初めて参加する障がい者の名がシルヴァンなのです。戸惑うパウロですが、アリスの勢いに任せるうちに、またこれ幸いと考えたラ・フレーズの強い圧力もあり、障がい者のふりをする羽目になります。
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サマーキャンプの泥棒二人
ということでサマーキャンプに潜り込んだ泥棒ふたりが障がい者たちと日々をともに過ごすことで次第に変化していくというのがこの映画です。
ただ、その変化のきっかけもこれといった大きな出来事があるわけではなく、なんとなく自然にといった感じで進み、それもこの映画のよさのひとつじゃないかと思います。わざとらしさがないということです。
その障がい者を演じるのはこの人たちです。

それぞれの人間関係がいろいろ細かく描かれていきますので飽きることはありません。
泥棒二人のことに限って書きますと、まず、父親のラ・フレーズはずっと泥棒稼業をやってきているわけですから、当然どうやってここから脱出して、なおかつ捕まらないように逃げおおせるかを考えるわけで、仲間に電話をしてレッカー移動された車から足がつかないよう手配をしたりしています。
前半はそんな感じで、さほどでもありませんが時に横柄さを見せたりしながら、それでもアリスの指示には素直に従ったりしています。
後半になりますと随分変わってきます。きっかけはサッカーです。上の図の上段の右端バティストがサッカー好きでその相手をしているうちにそもそもがサッカーに詳しかったんでしょう、自分も楽しむようになっていきます。そして終盤にはバティストが父親を慕うようになついてくるこもあり親子のような関係になっていきます。
逆にパウロの方は親離れの契機になっています。自己紹介のような、自分語りのようなシーンがあり、パウロは、自分の父親(皆は親子とは知らない…)は自分を父親と同じような人間にしようとしており、それが嫌だと言います。ラ・フレーズもいる場でのことですので、これもラ・フレーズが変わっていくひとつのきっかけになっているのでしょう。
監督でもあり、パウロを演じているアルテュスさんが主演ということになるのかもしれませんが、これといって目立つようなシーンもなく、あるいはこれも計算ずくのことかもしれません。他の出演者たちで映画として充分成り立つという判断なんでしょう。
ラストシーンでは、ちょっとばかり唐突ではありましたがアリスと愛し合う仲になっていました。アリスには恋人もいて二人でアメリカへ行く予定でいるのですが、今の障がい者支援の仕事を続けたい気持ちを捨てきれず迷っている状態のところへ、その恋人がわざわざサマーキャンプにまで来て押すものですから却って吹っ切ってしまうという結果になっています。
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自首するパウロ、逃げるラ・フレーズ
で、終盤、サマーキャンプに警官がやってくるわけですが、そのきっかけとなるのは、パウロが女性に顔を見られたことからではなく、皆で川遊びに行きカヌーに乗ろうとしたところ、障害者には貸せない(ということだと思う…)という店主をラ・フレーズが脅したために通報されたからです。
それよりも前、皆で買い出しにスーパーへ行くシーンがあります。パウロたち集団がレジで精算しようとしたところ、レジに座っているのが宝石店のあの女性なんです。互いに顔を見合わせる二人です。しかし、その女性の指にはパウロが投げ与えた指輪がはめられています。願いかなって婚約したということでしょう。
サマーキャンプに警官がやってきます。ラ・フレーズは慌てて逃げようとしますが、親離れしたパウロは自首する道を選びます。自ら両手を後ろに回してしましたが、警官は宝石泥棒だとは知らないわけですから勘違いとして後に白状したのか、有耶無耶で進めたのかどちらなんでしょう(笑)。
で、ラストシーン、パウロの裁判シーンもあり、その後の経緯はわかりませんがパウロは障がい者施設で働いています。クリスマスです。そこへ手錠をされたラ・フレーズが警官に連行されてやってきます。特別許可なんでしょうか、立ち寄ったと言っています。ラ・フレーズはバティストにクリスマスプレゼントだとクリスチアーノ・ロナウドのユニフォームを渡します。皆が歓声をあげていますとそこに手紙が届きます。手紙にはサマーキャンプのコテージが障がい者施設のものになったと記されています。
ラ・フレーズが盗んだ宝石を処分して買い取ったということなんでしょう(オイオイ…)。連行されていくラ・フレーズ、施設の窓からは手を振る皆の顔が見えます。
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感想:つくりものなのに嫌味がない
という、映画の出来としてはどうこういうものではありませんが、映画を見る人の裾野が広がる可能性があるという意味ではいい映画だと思います。
それに、無茶苦茶つくりものなのに、嫌なつくりもの感がありません。
障がい者を演じている俳優たちの自然な振る舞いゆえでしょう。そしてそれを邪魔しないアルテュス監督の力だとも思います。
年越しの年末に見る映画としてはいい映画でした。