イン・ザ・ハイツ

ラテン系ヒップホップのMV的ミュージカル映画

2008年にトニー賞の作品賞、楽曲賞、振付賞、編曲賞を受賞しているブロードウェイ・ミュージカルの映画化です。

たまにはミュージカルでもと軽い気持ちで見に行きますと疲れるかもしれません(笑)。

イン・ザ・ハイツ

イン・ザ・ハイツ / 監督:ジョン・M・チュウ

楽しめるのは音楽のみ

私は疲れたそのひとりです。一晩中踊っていられる人じゃないとダメかもしれませんね。

どの程度細部まで音楽が聞き取れるか、あるいは乗れるかという言い方もできますが、ほぼ全編音楽であることはともかく、その音楽にメリハリがなく、結果、映画全体が単調です。

ドラマ性は重要視されていないようで、音楽とダンスで圧倒するタイプの映画かと思います。

ラップやラテン系ヒップホップを140分間ノンストップで聞いた印象の映画です。

ネタバレあらすじ

舞台はニューヨークマンハッタンの北部ワシントンハイツ、マンハッタン島では一番標高の高い所らしく独立戦争のときにワシントン砦というものが築かれたところからの命名とのことです。

 

ドミニカからの移民の多いところらしく、映画もドミニカ移民の物語です。ほぼそのコミュニティーの話です。

ウスナビ(アンソニー・ラモス)がドミニカの海岸で子どもたちにワシントンハイツでの思い出話を語るところから始まります。

子どもたちの年齢からすれば7、8年から10年くらい前という感じです。それに、ドミニカの海岸というのはラストシーンにつながるオチとなっているだけで実際にはドミニカではありません。

上に書きましたようにドラマはほとんど重要視されていません。ただ、これは映画であってMVではありませんので一応いくつかのプロット(でいいかどうか?)は盛り込まれています。

ニューヨークの大停電

大停電の3日前、2日前、といったふうにスーパーが入ります。それが現実のニューヨークの大停電と結びついているかどうかはわかりませんが、もし結びついているとすれば2003年ということになります。

映画の中ほどのホームパーティーシーンで停電になります。

ただ、率直言いますと、だから何? という程度の扱いでしかなく、停電によって何かが起きるわけではありません。夏ですので、皆暑い、暑いと消耗しているだけで、その後通電しても映画的になにか大きく変化するわけではありません。

ウスナビとヴァネッサ

ウスナビはコンビニを経営(でいいのかな?)しています。ウスナビはドミニカに戻ろうとしています。なぜかははっきり語られませんが、ワシントンハイツにいても先がみえないことと、ドミニカの父親の店を再建したいようなことを言っています。

父親のこともよくわかりません、と言いますか、聞き逃しているかもしれません。ウスナビという名前は父親が幼いウスナビとともにニューヨークにやってきて最初に見た英語がアメリカ海軍の船に書かれた US Navy だったことからつけられたと言っていましたので、ドミニカの店を放置してワシントンハイツでコンビニを初めたということなんでしょう。(これ、違っているかも)

ウスナビはヴァネッサのことがとても気になっています。なのになぜか積極的に声をかけません。ウスナビは内気というわけではまったくありませんので、なぜ積極的に声をかけたりデートに誘ったりしないのかとても不思議な感じのする流れになっています。

このふたりは最後には結婚するわけですが、それをドラマにしようとの意識も感じられない、とにかく不思議な映画です。

ヴァネッサはネイリストをやっており、ファッションデザイナー(かな?)を目指しています。ただ、移民であること(というように描いている)からなかなかうまくいきません。

このふたりの関係は、とにかくよくわからないままに最後までいきます。

コミュニティーの期待を背負うニーナ

ニーナはコミュニティーの期待を背負ってスタンフォード大学に進学しており、帰郷してきます。父親は配車サービスの会社を経営しており、かなり無理をして学費を工面しているようです。

それを知っているニーナは大学をやめると言っています。また、ニーナは大学で移民ゆえに差別されていると言います。具体的には描かれません。

父親はそんなニーナの気持ちなど構わず、お金のことは心配するなと言い、配車サービスの会社を売って費用を捻出します。

ニーナはそうした期待を重荷に感じていますが、それでも後半にはもう一度頑張ってみる、みんなが差別されない社会をつくる(みたいな感じ)と言い大学に戻っていきます。

コミュニティーのゴッドマザーのようなアブエラ

ほぼ全編音楽で物語が語られますので聞き取れていませんし読み取れていませんのでよくわかりませんが、ウスナビやそのいとこの母親代わりであり、コミュニティーの皆から信頼されているアブエラというおばあちゃんがいます。

ウスナビはそのアブエラといとことともにドミニカに帰りたいと思っています。ただ、いとこは自分はここで育ったのでドミニカに思い入れはないと言っています。

で、突然ですが(笑)、ウスナビのコンビニでは宝くじを売っていて皆が買っていくわけですが、ある宝くじで 96,000ドル(1000万円くらい)の当たりくじが出たことがわかります。しかし、誰も名乗り出てきません。

そして、また突然ですが、大停電が起きたときにアブエラが亡くなってしまいます。ただこれもさほどドラマとしては大きく扱われていません。いや、大きく扱われているのかも知れませんが、すべて音楽で表現されており、またその音楽に(私には)あまり変化が感じられなく単調に進んでいる感じでよくわからないということです。

ウスナビ、ドミニカに帰る

そして、2日間(くらいかな?)の停電も解消し、コミュニティーも元気を取り戻します。

ウスナビはドミニカに帰る前日に小物入れに宝くじを発見します。アブエラが残してくれていたのです。ウスナビはそのお金をワシントンハイツに残るといういとこが永住権を取るための費用に使うよう弁護士に依頼します。

で、また突然ですが、ヴァネッサはひょんなこと(省略(笑))からアイデアが浮かびブティック(でいいのかな?)の可能性を見出します。

それを見たウスナビはワシントンハイツに残る決心をします。

は? よくわかりませんが、全編音楽のミュージカルでかなり疲れていますのでそんなことどうでもよくなっています(笑)。

冒頭のシーンの続きです。ドミニカの海岸風景はそのブティックに書かれた壁画に変わり、ウスナビはの話を聞いていた子どもたちは泳ぎに行ってもいい?と尋ね外に飛び出していきます。

路上では、いわゆるニューヨークらしい道路に水道が吹き出しています。その水を浴びながら皆で踊ります。

そうそう、ウスナビが話をしていた子どもの一人はウスナビとヴァネッサの子どもです。

140分のラテン系ヒップポップMV

これはMVではなく映画なのでと書きましたが、いやいや、これはMVです。

映画がどうこうではなく、そうした音楽が好きな人には楽しめる映画であり、特に好き嫌いもない人にはMVにみえてしまう映画ということかと思います。

イン・ザ・ハイツ

イン・ザ・ハイツ

  • アーティスト:リン=マニュエル・ミランダ
  • ワーナーミュージック・ジャパン

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