平庫ワカ著『マイ・ブロークン・マリコ』という漫画が原作です。タナダユキ監督、向井康介脚本ということで見てみました。
原作を絵コンテにした映画
原作の試し読みがあり、シイノトモヨ(シイちゃん)がマリコの遺骨を盗んで窓から飛び出すところまで読めました。映画はストーリーはもちろんのこと、シイちゃんのキャラクターやカット割りまでそのまんまですね。シイちゃんをやっている永野芽郁さんなんて漫画を読んで役作りしているでしょう。
こういう映画づくりって楽しんでしょうか。どうなんでしょう、絵コンテだと思えば作りやすいかもしれませんね。
漫画がその後どういう展開をするかわかりませんのでなんとも言えませんが、映画の単純さからいけば多分最後まで原作の通りじゃないかと思います。
話の筋は、遺骨を盗んだシイちゃんが子どもの頃マリコと海に行きたいねと話をしていたことを思い出し、トラブルにあいながらも思いを果たすという流れで、その間に小学生の頃、中学生の頃、そして大人になってからが1、2シーンくらいずつフラッシュバックされるというつくりです。
脚本と監督の意欲は…
なんとなくググっていましたら2話も読めました。結局4話全1巻の漫画なんですね。で、3話、4話は漫画そのものは読めませんでしたが、あらすじがありましたので読みましたらやはり映画は漫画のまんまでした。
漫画を読んで映画を見る人には安心できていいのかもしれませんが、映画を楽しもうと思いますとちょっと一直線すぎますし浅すぎます。
マリコ(奈緒)は子どもの頃から父親のDVや性的暴行の被害にあっています。そのもののシーンはなく、顔にあざがあったり、絆創膏が貼ってあったり、漫画の1話にあったドア越しに父親の怒鳴り声が聞こえるという表現だけです。性的暴行の表現も漫画のとおりで、マリコのが自分の母親が出ていったことについてシイちゃんに「私のせいなんだって、私が誘惑したからお父さんが私に手ぇ出しちゃたんだって」と訴えるシーンだけです。
率直なところ、この表現には少女漫画的幼さを感じます。漫画はともかく、映画においては脚本家や監督はDVや性的暴行をこれで流してしまってはいけないでしょう。せっかく映画にするのなら、こういうところをきっちりと描き込むべきだと思います。
まあ、あまり力が入っていない仕事なんでしょう。
キャスティングミス
永野芽郁さん、奈緒さん、窪田正孝さんでは期待させすぎます。アイドル系の若い人たちで撮ればぴったりくるでしょうし、新しい才能の発見になるかもしれません。
特に奈緒さんと窪田正孝さんは雰囲気がアダルト(大人の意味)過ぎて違和感がありすぎます。
比べるのもなんですが、映画なんですから「君は永遠にそいつらより若い」くらいまでには引き上げてほしいものです。