後半は今どきのテレビドラマの最終回のような説明シーンの連続攻撃だった…
「君が君で君だ」を見てびっくりし、それ以降はその名を見れば必ず見てみようとなる(けれど見るのはときどきの…)松居大悟監督です。なぜ「君が君で君だ」が気になっているかと言いますと、私などではとても思いつけない発想がてんこ盛りの映画だからです。ただ、その後はなかなかその感覚に出会えません。

未来人は人の心を乱すためにやってくる…
この「リライト」には法条遥さんの原作があり、脚本も上田誠さんという方ですので、さすがに原作、脚本、監督の「君が君で君だ」のようにはいかないのでしょう。
タイムスリップ、タイムリープ、タイムトラベル、タイムループ、いろいろ言葉はあるようですが、未来人が現在にやってきて人の心を乱していくという(笑)時間もの青春ドラマです。
前半はそれなりに面白く見られましたが、後半は謎解き説明シーンの連続攻撃という今どきのテレビドラマの最終回のような展開でした。
美雪(池田エライザ)たち高校3年生の夏の物語です。そこへ何年と言っていましたっけ? かなり先の未来だったと思いますが、その未来から保彦(阿達慶)が転校生としてやってきます。美雪は本好きの設定です。図書室にいるとき、突然保彦が現れ、どこから来たの? と尋ねる美雪に、昨日からと答える保彦、理由のわからない風の美雪に、自分は未来人であり本を読んでこの時代に憧れてやってきたと自ら素性を明かします。
その後、二人は親しく付き合うようになり、保彦は美雪に自分が開発したというタイムリープ(スリップ?…)できるカプセル錠剤を渡します。そして、ある日、保彦が行くと言っていた古い校舎が崩落します(なんで?…)。保彦が犠牲になっていると思った美雪はカプセル錠剤を飲みます(なんで?…)。
美雪は10年後(なんで?…)にタイムリープします。10年後の美雪がいます。現在の美雪は10年後の美雪から「保彦は大丈夫。この出来事を小説に書きなさい」と言われ、『少女は時をかける』と題された本を見せられます。タイムリープカプセルは保彦のために調合されていますので美雪には持続せず、わずか10秒ほどで元に戻ってしまいます(という言い訳がされていた…)。
その後、現在に戻った美雪と無事だった保彦はお祭りを楽しんだりして最後の夏を過ごし、お別れのキスをして、保彦は未来へ帰っていきます。
10年後、美雪は売れっ子作家になっています。そして、『少女は時をかける』を書き上げ、10年前の美雪がやってくるのを待ち受けます。
しかし、10年前の自分はやって来ません。
後半は今どきのテレビドラマの最終回のよう…
というのが前半で、基本こうした青春ものはベタがゆえに誰がどうつくってもそれなりにまとまります。純な気持ちで見ていれば楽しめます。
しかし、この映画、後半がまったくいただけません。なぜ10年前の美雪は10年後の美雪に出会ったのにその10年後の美雪は10年前の美雪に出会えなかったのかをこの後延々と説明していくのです。
頭がぐるぐるしてきました(笑)。
この解決編説明シーンを一言で整理しますと、保彦は32回リライトしたけれでも未来に戻ることができず、なぜか最後の1回はリライトせず、結局、保彦は未来へ帰ることができずに(せずに?…)現代で生きることにしたということ、なのかな?
なぜそこを説明ではなく突っ込んで描かない(書かない…)? と思いますけどね。保彦は茂(倉悠貴)が友恵(橋本愛)を好きだということでリライトすることを遠慮したんですかね(適当です…)。
ラストシーンは、10年後、美雪は書店に平積み(違ったかも…)にされた友恵が書いた『エンドレス・サマー』を見ています。保彦(と思われる人物…)がその本を買いに来ます。美雪は声を掛けることなく、夫とともに東京へ帰っていきます。
「時をかける少女」と同じく尾道を舞台とした映画でした。
大林宣彦監督「時をかける少女」を見てみた…
「時をかける少女」を配信で見てみました。
内容的にはまったく関係ないですね。それに「時をかける少女」の方は時間もの映画というよりも原田知世さんのための映画でした。アイドル映画のジャンルですね。
1983年の映画ですので、今なら絶対にあり得ない設定や台詞が結構出てきます。
その見方からすれば、今から数十年後にはあり得ないと思われることを今我々はやっているということになります。
何なんでしょうね。とても気になります。
それはともかく、「時をかける少女」には尾道らしい(と想像する…)風景が頻繁に出てきますが、「リライト」ではあまりそうしたシーンがありません。変わっちゃたんでしょうか。ほぼ半世紀前ですから町並みの家々も建て替えられているのかもしれません。
タイトルバックの画でも意図的にそうした風景が撮り入れられていますし…、なんて思いながらググりましたら、通学路や長い階段のロケ地は竹原市みたいで、町並み保存地区になっています。
今や「ロケ地」は地域振興の重要な要素のようです。