監督の安田淳一さんはもちろんですが山口馬木也さんの好演が大きい…
ロングランヒット中の「侍タイムスリッパー」を配信で見てみました。面白いですし、よくできています。

山口馬木也さんじゃなければチープなものに…
いまさら内容を書くこともありませんが、と言いながらも私はタイムスリップの話ということも知りませんでしたので(侍タイムスリッパーなのに…)ちょっとだけ書きますと、幕末の侍が現代の時代劇の撮影所にタイムスリップし、戸惑いつつも現代に溶け込み、切られ役として生きていく話です。
調べていませんのでわかりませんが、この設定の映画って過去にないんでしょうか。思いつけそうで思いつけないということなのか、もしないとしますとそうした盲点をついたような目の付け所もヒットする要因かも知れません。
ストーリーやシーン構成に特別すごいと感じるところはありませんが、それでもよくできていると感じるのは、何をおいても主演の山口馬木也さんの好演ゆえです。
冒頭のシーン、山口馬木也さん演じる会津藩士高坂新左衛門ともうひとりの侍が長州藩士が寺から出てくるのを待ち受けながら話をするのですが、えーーーー?! というほどの説明ゼリフの連続で、ヤバッと失笑が漏れてしまいました。
しかし、それもそのワンシーンだけで、その後は有無を言わせぬタイプスリップ展開でヤバ系危惧も(笑)はねのけ、これ、どうやってまとめていくんだろうと興味がわき、そして次第に山口馬木也さんの結構深い演技に惹きつけられていったという映画です。
この映画、山口馬木也さんじゃなければチープな時代劇のまま終わっていたと思います。
もちろんそのキャスティングも含め、シーン構成がほどよく端折られていたり、長州藩士の方を30年前にタイムスリップさせていたりするアイデアなど、脚本、監督、その他あれこれひとりでやっている感の安田淳一さんの力があってこそだとは思います。
米作りとの兼業とのこと、今後どうなっていくのかはわかりませんが、気負うことなく長く続けられることを望みます。