悶々にまどろむ27歳、はたして飛び立てるか…
そのタイトルをよく目にしてきた「佐々木、イン、マイマイン」、やっと見ました。青春回顧(懐古)ものだったんですね。5年前の映画です。

悶々は青春の証しであり特権…
「若き見知らぬ者たち」よりはうまくできています。まあベタな青春回顧(懐古)ものですのでその分つくりやすいということだと思います。
地方(山梨でしたね…)から東京に出てきて10年、役者を目指すもいまだバイトバイトに明け暮れる27歳の悠二(藤原季節)が、高校時代の同級生佐々木(細川岳)との思い出に浸るという映画です。ただ、佐々木は最後に死にますのでそれを契機に悠二もちょっとだけ変わりそうだというところで終わっています。
悠二は何事にも一歩前に踏み出せない性格との設定になっています。そもそも役者になりたいと思っているかもはっきりしていませんし、一緒に暮らしている女性ユキ(萩原みのり)とも別れたと言いながら一緒に暮らしていますし、しかし実際は未練たらたらという関係です。
この映画、あるいは計算かも知れませんが、悠二の内面がほとんど明らかにされていません。俳優仲間の須藤(村上虹郎)との会話でも、同級生の多田(遊屋慎太郎)との会話でも、ユキとの会話でも、とにかく煮えきらずなにかあるように見えても何があるのかわからりません。
早い話、いまだ18歳のままでいるということです。それが佐々木との高校時代の回想で表現されています。
「悶々」は青春の証しであり、特権ということです。27歳、いまだ悶々にまどろむ悠二です。
この映画が同世代に共感されているとするならこの点においてだと思います。
はたして悠二は飛び立てるのか…
「若き見知らぬ者たち」では不幸にまどろむ若者たちと表現しましたが、この映画も不幸ではないにしても「まどろむ」点においては同じです。ただ少なくともこの映画の悠二はユキに別れを告げ(告げられ?…)、芝居の台詞を叫びながらあるいは一歩踏み出すかも知れないというシーンで終わっています。
その台詞は聞き取れませんでしたし、何度も繰り返して見るほどのものでもない(ゴメン…)ですので何であったかはわかりませんが、芝居の内容は「人生はさようなら…」とか「自分へのさようなら…」というようなことだと思いますので、佐々木に象徴される青春へのまどろみにさようならを言おうとしているということだと思います。
はたして悠二は飛び立つことができるのでしょうか。
という映画だと思いますが、悠二をやっている藤原季節さんで持っているような映画です。数本見ているだけですが、その中では「のさりの島」がよかったです。「わたし達はおとな」も主演ですので記憶していますが、これは映画がよくないです(ゴメン…)。
それにしても相変わらず(といっても2本目…)女性の存在が添えものです。まあ内容が内容なだけに仕方ないですかね。