若松監督の思いやメッセージがよく伝わってくる映画でした。
が、ちょっと残念な映画です。
ご存じのように、寺島しのぶがベルリン映画祭で最優秀女優賞をとっていますが、それについてもやや期待はずれでした。それぞれのシーンではいい感じなんですが、シゲ子(寺島しのぶ)の意識の流れが見えてきません。これは、俳優のせいというより、監督あるいは脚本のせいでしょう。シーンが細切れ過ぎて、何を追っかけていけばいいのか、分からなくなってしまいます。
時々はさまれる実写フィルムや戦況を伝えるためのカットなどは、若松監督のメッセージとして理解はできますが、結果的に成功しているとは思えません。
村人たちが出征する若者を見送ったり、銃後の訓練(のようなこと)をしたりするシーンも、何だか同じシーンが繰り返されているようでしっくりきません。
久蔵(大西信満)とシゲ子二人をずっと撮り続けるだけで映画になるような気がします。そして、時にのどかな田園風景をはさめば…。
ただ、そんなことを言っていても、若松監督はそんな映画を撮る人じゃないんですから(笑)。
それにしても、農村風景や棚田がきれいでした。ロケ地はどこなんでしょう?