そんなには褒めないよ。映画評

ネタバレレビュー・あらすじ・評価・感想

ホーム / は行 / ブルーバレンタイン/デレク・シアンフランス監督

ブルーバレンタイン/デレク・シアンフランス監督

早くも今年のベスト登場!

2011/05/06

ブルーバレンタイン (字幕版)

ブルーバレンタイン (字幕版)

  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: Amazonビデオ
  • この商品を含むブログ (2件) を見る

まだ5月、1年の1/3しか経っていませんが、この映画を今年のベストにします。


BLUE VALENTINE – Official HD Trailer

日本語の予告編のナレーションがダサイのでオリジナルにしました(笑)。

元来、こういった男女間のぎりぎりの、うまくいくにしろ、こわれるにしろ、ひりひりする感じの映画が大好きなんですが、特にこの映画で気に入った点を上げると、

まず、監督の映像に対する信頼が強い(と思われる)こと

どういうことかと言いますと、結構多いパターンなんですが、言葉で状況や人物の経歴などを説明する、たとえば、観客にある人物の過去を知らせる必要がある場合、わざとらしく本人が喋るのはもってのほかですが、ちょっとましな場合でも、相手に「そういえば、あなたって○○だったわね」などと言わせたりすることがあります。でも、この映画には、そんな説明的なセリフは全くなく、なぜこの2人が、今危機的状況にあるのか、言葉で説明したりはしません。

この映画のような男女間だけではなく、どんな人間関係でも、関係がまずくなる場合の原因なんて、これですと言えるほど、単純ではないでしょう。もちろん、きっかけははっきりしている場合が多いのでしょうが、原因となると、長い間の積み重ねであったり、言葉では説明しきれない(と本人たちが思う)曖昧模糊とした感情であったりします。

この映画は、そのあたりのことを安易に言葉で説明しようとすることなく、ひたすら二人の今を撮り続けることで、そしてまた、気持ちのすれ違いのちょっとした瞬間やふっとひとりを感じてしまう孤独な瞬間などに、二人の出会いから結婚までの回想シーンを挿入することで、本当に普通の実生活にある感覚で、今にもこわれそうな二人の関係を描いていきます。言葉では説明しきれないほど多くのことが映像で語られていきます。映像に力があるのです。

カメラワークがとてもいいです

現在のシーンは、バストショットくらいに寄ったカットを多用し、二人を追い続けることで緊張感を高めていきます。一方、過去のシーンは、ゆったりと二人を包みこむような感じの引いた映像を中心に構成されています。その対比自体は目新しいことではないでしょうが、そのバランスがとても良く、過去のシーンの入れ方もとてもうまいです。

撮影監督は、アンドリー・パレークという人で、日本で公開された映画では、「ニューヨーク・アイラブユー」のジョシュア・マーストン監督のパートの撮影を担当しているようです。

ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズ、二人の俳優が素晴らしいです

体重を増やしたり、髪を抜いたり(と、チラシに書いてあったが、剃ったり?)と、7年の歳月を身体的にも表現しています。まあそれはすごいことではあっても、やろうと思えば出来ることで、そんなことより、アップの映像に映し出される表情には、微妙な感情が読み取れる素晴らしい演技でした。

デレク・シアンフランス監督が自らの意図することを見事にやり遂げている(と感じられる)こと

自らも関わっている脚本は、10年以上も練り上げられたとありますが、それだけではなく、上にあげたことも含め、全てにおいて、妥協せず、自分の思うところをフィルムに焼き付けているように感じます。

今後も注目したい監督です。

といったわけで、素晴らしい映画に出会った連休でした。

ブルーバレンタイン [Blu-ray]

ブルーバレンタイン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2011/09/28
  • メディア: Blu-ray
  • 購入: 1人 クリック: 10回
  • この商品を含むブログ (30件) を見る
「終着駅トルストイ最後の旅/マイケル・ホフマン」
ブンミおじさんの森/アピチャッポン・ウィーラセタクン
Twitter
Facebook
ブックマーク
Filmarks

最初のサイドバー

最新映画レビュー

2023/03/24

ロストケア

基本的テーマの重要性とは不釣り合いな雑なつくりの映画…

2023/03/20

コンペティション

ペネロペ・クルスの映画監督役がはまっていてびっくり!

2023/03/18

The Son/息子

観念的な父子関係のまま人生は続くと言われても…

2023/03/14

マジック・マイク ラストダンス

チャニング・テイタムとKylie Sheaのデュエットは見応えあるが…

2023/03/12

Winny

事件そのものの問題点に迫ることなく弁護側の主張に基づく映画

最新映画レビューを一覧で見る

おすすめ映画

2023/02/12

コンパートメントNo.6

ネタバレレビュー、あらすじ、感想、評価。

2023/01/24

母の聖戦

ネタバレレビュー、あらすじ、感想、評価

2022/12/27

の方へ、流れる

ネタバレレビュー・唐田えりかの映画的存在感の凄さとシナリオのうまさ

2022/12/03

あのこと

ネタバレレビュー・アンヌの身体や人生のことはアンヌが決めるべきということ

2022/10/14

スペンサー ダイアナの決意

ネタバレレビュー・クリステン・スチュワートのダイアナが自由への物語を生み出す

おすすめ映画を一覧で見る

よく読まれている記事

  • 記事一覧
  • おすすめ映画
  • よく読まれている記事
  • 英数字
  • あ行
  • か行
  • さ行
  • た行
  • な行
  • は行
  • ま行
  • や行
  • ら行
  • わん他

Footer

My Web Sites

  • @半径とことこ60分
  • そんなには褒めないよ。映画評
  • IMUZA.com
  • GitHub

Related Links

  • IMDb
  • Filmarks
  • 映画.com
  • allcinema

Contact Us

  • お問い合わせフォーム
  • Twitter
  • Facebook
  • Feedly

Copyright © 2023 · IMUZA.com