催眠映画ではあるけれど、眠っているわけにはいかない。ジャン=リュック・ゴダール80歳の今がここにあるのだから。
80歳になった今でも、世界に対して心から怒り、そして絶望し、それでもなお語り続けることをやめようとしない姿勢こそが、ゴダールそのものだと言える。たとえ、エンドクレジットが「NO COMMENT」だとしても、それこそが語り続ける意思表示だ。
目の前に提示される映像や言葉や音(音楽も含む)は、引用されたものであったり、コラージュされたものであったりと、とにかく暗示に満ちており、とても一度見ただけでは理解出来ない。だが、大きな意味では、とても分かりやすい映画だ。非映画的なる100分、それは、ヨーロッパ、言い換えれば、西欧的なるものの「罪」だ。
見終えた今、公式サイトにストーリーなるメニューがあることに気づき読んでみる。が、う…ん、これを読んで、期待して出掛けるのは危険すぎるだろう。この映画はストーリー的なるものを完全に拒否しているし、さらに言えば、そういった映画に対して挑戦的ですらある。
眠くなったら眠る、むやみに意味を求めず、分からなかったら諦め、そもそも分かって欲しいと思っていないのだと考える。見終えて、やはり映画に必要なものは「怒り」なのだと感じる。強く、強く。それが私のゴダールだ。