「ナタリー・ポートマンは5%しか踊っていない」発言はネタです(笑)。その内容は多分事実でしょうが、論争自体が宣伝の一環だと思います。
どこからどう見てもナタリー・ポートマンが踊っているとは思えません。初っ端から、やたらアップの映像が多いのは、バレエシーンを映像処理するためにとらざるを得ない手法を逆手にとっているだけだと思います。足のアップと引きのバレエシーンは、ボディダブルを務めたサラ・レーンのものだと思います。
でも、それが結果的にアカデミー賞主演女優賞受賞に結びついているんでしょう。ナタリー・ポートマンの演技自体は、その価値があると思います。俳優はバレエダンサーである必要はありません。踊っていようがいまいが、俳優として勝負していればいいわけで、ナタリー(つい♪ナタリー〜となってしまいそう)はそれをしています。
ただ、映画自体は単調でつまらんですね。自分の夢を子供に託す教育ママと、言うなりに育った過保護のバレエダンサーの話ですが、どちらもすでに尋常じゃない状態になっており、ニナ(ナタリー)は無意識のうちに自分を傷つける自傷行為が出るほど病んでおり、母親(バーバラ・ハーシー)の方も雰囲気からして病的な感じ(俳優としてはうまいということですが)です。その描き方が最初から最後まで一本調子なんです。ありがちな母子関係の、かなり煮詰まった、もう今にも爆発しそうなところだけが描かれていますので、そりゃもう、ニナは幻覚を見たりするしかないわけで、それを「白鳥の湖」の白鳥黒鳥に反映させ、プリマ争いも絡め、サスペンスタッチで描いています。
ナタリー・ポートマンは、未だ「レオン」が持ち出され、インパクトの強い売れ方をした俳優のつらさを味わってきたようですが、この作品で払拭できたのでしょうか。私には、「クローサー」あたりですっかり大人の女性になっているのですが、一般的にはそうでもないのでしょうかね…。
そんなことより、年齢的にこのニナ役はどうなんでしょう。ウィノナ・ライダー演じるバレエ団の元プリマが年齢のゆえに引退させられるくだりで、バレエ団の団員たちから、言い回しは忘れましたが、年齢のことをどうこうと揶揄されるシーンがあるのですが、私は、その対象がナタリーのことかと勘違いしそうでした。何せまだ導入部でどう展開していくか全く知らなかったものですから…(笑)。アップが多いですので、若手ダンサーの役はちょっと無理じゃないでしょうか…。