山下敦弘監督の力量がひしひしと感じられる力強い映画です。何をおいても手を抜かないところが凄いです。本当はそんなことが凄くっちゃいけなく、当たり前のことだと思うんですが、最近私が見る日本映画は手抜きが多いです。
この映画は、主役級はもちろん、脇役からエキストラにいたるまで、誰ひとりとして遊んでいるやつはいません。あるいは、遊んでいるようには絶対に見せないように作られています。嘘くささは、カメラワークやライティングや音楽や、様々な手法を使って排除されています。
とはいえ、映画は失敗しています。かなりハイレベルなところで失敗しています。
原因は妻夫木聡には、「祐一」のような労働者階級は無理で、「沢田」のようなエリート系の役どころがあっているということでしょう。
ということで、とても残念ですが、結果として、この映画はあの時代を描ききれずに終わっています。