シェイム/スティーヴ・マックィーン監督

わざと核心をはずして、「セックス依存症」だの「過激な描写」だのの言葉で売ろうとしたとしか思えない…

映画の宣伝が当てにならないって話は今さら…なんですが、それにしても、わざと核心をはずして、「セックス依存症」だの「過激な描写」だのの言葉で売ろうとしたとしか思えません。

その宣伝に釣られて見たわけではありませんが、ブランドン(マイケル・ファスベンダー)は、別に「セックス依存症」ってわけではなく、恋愛感情がからむとセックスが出来なく、その強迫観念で異様にセックスにこだわり続けているってことじゃないんですか? その原因が妹のシシー(キャリー・マリガン)との過去の何らかの関係にあるってことでしょう? シシーは、「他者の愛を渇望し、激情の塊となって生き」てるわけではなく、兄への愛から逃れられないんでしょう?

多分二人には、過去に、肉体関係も含め、罪悪感と裏表の強い愛情関係があり、そして現在もそれから逃れられなく苦しんでいるってことでしょう。そういった過去について全く語らないことの潔さは感じますが、それに触れずに、いったい何を描こうとしたのでしょう? つまらんセックスシーンをくどくど見せられたり、突然リスカにおよぶシシーの苦しみを見せられても、もっともっと二人に迫って描いてもらわないことには、何も浮かび上がってこないでしょう。

だって、そもそもブランドンは、妹に鍵を渡しているんでしょう? わざわざ鍵を渡している相手に、なぜ来たのだって怒るシーンを入れながら、それ以上のツッコミをしないってはどういうこと? よく分かりませんね。近親相姦に触れることへのタブー感みたいなものがあるんでしょうか…。

といったわけで、ファーストシーンのつくりが上手いこととブランドンが同僚の女性とデートするレストランの長いワンカットのシーンが興味深いことを除けば、つまらない映画でした。