ナチス占領下のポーランドを舞台にした映画で実話を元にしているとのことです。最近見た「あの日 あの時 愛の記憶/アンナ・ジャスティス監督」もポーランドの話で実話を元にしていたはず、とにかく、とても理解できないようなことが起きていた時代ですから、ドラマになるようなこともいろいろあったということでしょうか…。
地下に張り巡らされた地下水道(下水道)の修理工ソハが、ユダヤ人たちを地下水道に匿い助けるという「シンドラーのリスト」にも似たような話ですが、ソハの当初の意識は決して正義感などではなく金目当ての行為です。それが次第に金目当てではなくなっていくわけですが、そのあたりの描き方は特別何か動機となるようなことがあってというわけではなく、ユダヤ人たちに起きるいろいろな不幸なことの積み重ねや自分の家族との軋轢などで徐々に変化していきます。ソハを演じたロベルト・ヴィエツキーヴィッチという俳優さんもなかなかいい感じで、このあたり結構好印象でした。
当然、ほとんどのシーンが英題「in darkness」の通り懐中電灯以外あかりのない世界ですから、映像は暗いわ、揺れるライトで見にくいわで結構イライラさせるのですが、それも当然計算の上でしょう。それに過度の同情を誘うような描写もなく、むしろ排泄物の臭いが充満し鼠が這いずり回るそんなところでさえ、男女に恋愛感情が生まれセックスシーンまであるという作りですので、最後まで嫌みなく見られます。ただ、パニックを起こしたりヒステリックになるのが必ず女性という描き方はどうなんだろうとは思いましたが…。
まあそれはともかく、街中の地下に煉瓦で組まれた下水道がある街、何という街だろうと調べてみても、公式サイトにさえ記載がなく、やっとここで現在はウクライナ領のルヴフだと分かりました。ロケ地はここというわけではないようで、本当に映画のような地下道があるのかどうかはよく分かりません。
最近のポーランド映画というとドロタ・ケンジェジャフスカ監督の「木洩れ日の家で」「僕がいない場所」「明日はきっとよくなる」と続けざまに女性監督の作品を見ていますね。