ガンドはミソンを本当に母親だと信じたのだろうか…
もともとこういった傾向が強い監督ですが、あまりにもテーマを単純化し過ぎじゃないですかね…。
いろいろあって、ここひと月で2,3本しか見ていません。その1本。
まあ、映画もその時の精神状態で見え方が変わってしまいますので、何とも言えないのですが、最初の2,30分くらいしか集中力が持続しませんでした。
まず第一に気をそがれてしまったのは、ガンド(イ・ジョンジン)がミソン(チョ・ミンス)を母親と認識するまでの葛藤を全く描いていないところですね。30年(でしたっけ?)ですよ、30年もひとりで生きてきている人間が突然現れた人間をそう簡単には母親とは認められないでしょう。普通なら(というか、私なら)母親なんてものの概念そのものがないのではないかと思います。
血のつながりなんてものは観念です。親子関係の絶対的な観念、イエスとマリアってことなんでしょうか、それを前提にしての映画なんですから、こんなことを言ってもどうしようもないのですが、キム・ギドク監督、もう少し曖昧な、とらえどころのない人間関係のようなものを描いてきていたように思いますが…。
裏読みすれば、ミソンは復讐のために母親を名乗るわけですし、ガンドにしても本当に母親だと信じたのか、信じたい自分を納得させるために信じたのか分からないわけですから、私が読み取れないだけで、それが描かれているとしたら、それはそれ、すごい映画と言うことになります。