星座/奥秀太郎監督

聾者としてのマチの描き方が気になり、同僚がマチに「あなたには幸せになって欲しいのよ」って何なのでしょう?

映画というよりも黒田育世さんというダンサーに興味があって見てみました。

『告白』などにも出演し、ダンサーとしてだけでなくさまざまな方面で活動する黒田育世がヒロインを演じ、『USB』などの奥秀太郎が監督と脚本を務めるラブストーリー。ろうあの女性と外国人の男性の偶然の出会いを、陰影に満ちた映像とギターの情感豊かな音色と共に描き出す。共演はヴッパタール舞踊団の作品に出演し、振付家としても活躍するファビアン・プリオヴィユ。2人の男女の踊りに託してつづられる、刹那の愛の物語に心打たれる。(cinematoday

黒田さんのダンスありきの映画だとは思いますが、映画的なマチ(黒田育世)の位置づけがどうも気になります。

マチは聾者で造船所で働いているという設定でなんですが、上司や同僚たちとうまくコミュニケーションがとれていないように描かれています。さらに、マチが手話をするシーンが少しありましたが、日常的には手話は使われていないようで、最も親しい同僚(占部房子)でさえ、何度も何度も音声による言葉で伝えようとし、理解できないマチがまるで駄々をこねるような行動をとる(印象の)シーンが幾度もありました。

結局、マチは手話よりもダンス(肉体言語として?)でコミュニケーションをとろうとしますが、その同僚はダンスで答えることもできず戸惑うばかりです。唯一、密航者であるファビアン・プリオビユだけがマチのダンスに応えることができ、やがてそのコミュニケーションは愛にまで昇華し、マチは妊娠します。

んー、聾者としてのマチの描き方が何だか気になります。もうひとつ、同僚がマチに「あなたには幸せになって欲しいのよ」って言うのですが、何なんでしょう?

黒田さんのダンスも、残念ながら私の趣味ではありませんでした。評価されているダンサーですので、私の趣味の問題以外ではないのですが、非常に無駄な動きが多い印象を持ちました。肉体がまわりの空気と共振するような緊張感を味わいたい者からするとかなり物足りなく感じます。でもまあ、ダンスは生で見ないと分かりません。