この三人の生き方、60年代、70年代なら憧れでしょう。
三人は一体何歳の設定なんだろう?と、公式サイトを見てみましたら、「ルカ(31歳)、ルイス(29歳)、ルアラ(30歳)」とのこと、30歳でこの生き方ができるなんて素敵だねと、随分斜めに構えた見方をしてしまいました。
それにしても「聖者の午後」なんて、とんでもなくおしゃれな邦題ですが、内容もおしゃれです。なんといっても生きることへの切迫感がないのがいいです。
「年金暮らしの祖母の家に住み、客が来ないタトゥショップを開いているルカ(ペドロ・ジ・ピエトロ)」は、自らも全身タトゥで、ロックのまね事のようなギターを弾いたりして、パンク系(かな?)に憧れているようにも思えますが、見た目どおりに気の優しそうなお兄ちゃんですし、「あと2週間で解雇される(そんなせりふあったかな?)ルイス(アカウア・ソル)」は、一見何かやらかしそうな雰囲気ですが、襲われても何の抵抗もすることなく殴られっぱなしですし、「旅することを夢みながら、熱帯魚店で働くルイスの恋人、ルアラ(シモーネ・イリエスク)」は、中年のパイロットに口説かれても意外とまじめですし、とにかく三人とも心優しく、このまま仲良く生きていって欲しいと思ってしまいます。
今じゃ、この三人のような生き方は負け組と言われてしまいますが、60年、70年代なら憧れですよ。
フランシスコ・ガルシア監督だって、きっとこんな風に生きたいと思っているのでしょう。三人に何か行動を起こさせようとするわけでもなく、ビールを飲ませたり、たばこやマリファナをすわせたり、セックスをさせたりと無為(でもないかな)に日々を過ごさせているだけなんですから(笑)。
それに、出てくる大人たち、三人も充分大人なんですがそれはともかく、ルカのおばあちゃんでしょ、ルイスが働く薬局で薬を横流ししているオヤジでしょ、それにルアラを口説こうとするパイロットでしょ、おばあちゃんをのぞいて碌な大人じゃないですよ(笑)。
それにしてもパイロットがジムノペディ(だったと思う)を使ってルアラを口説こうとするシーンには笑ってしまいました。サティを使って口説きますか(笑)。あれはパイロットの仕込みという演出なんでしょうね。