こうした映画にありがちな、上から目線的視点も、恩着せがましさも、過剰にヒューマニスティックさを強調することもないのがいいです
あざといところがなく、素直に感動できるいい映画でした。感動だけでは何も変わらないのは分かっているのですが…。
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アメリカがスーダンの難民キャンプから3600人の若者たちを受け入れたという実話(公式サイト)を元にした作品なんですが、上から目線的視点も、恩着せがましさも、過剰にヒューマニスティックさを強調することもなく、極めて自然にマメール、ジェレマイア、ポールたち三人をとらえているところがいいんだと思います。
カンザスシティーの職業紹介所で働くキャリーは、アフリカから到着したマメールと2人の仲間たちを空港まで迎えに行く。彼らは内戦で両親を亡くした、“ロストボーイズ”と呼ばれる難民たちだ。そつなく仕事をこなしてきたキャリーに与えられたのは、電話を見るのも初めての彼らを就職させるという、最難関のミッションだった。車に乗せれば一瞬で酔うし、牧場を見ると「猛獣はいますか?」と確認、面接では珍回答の連続で、なかなか仕事が決まらない彼らに最初はイラつくキャリーだったが、その成長を見守るうちに思いがけない友情が芽生え始める。(公式サイト)
ストーリーを引用してはみたものの、この文章、この映画の雰囲気をうまく捉えているとは言えないですね。
そもそも、彼ら彼女たちが難民となった13年前(だったと思う)、生まれ育ったスーダンを逃れ、エチオピアやケニアをめざし、確か1000キロを越える距離を歩いて難民キャンプにたどり着くまでが結構長く描かれています。その間にもいくつかのドラマがあり、最も重要と思われる、マメール(アーノルド・オーチェン)が兄テオと生き別れになる重要なシーンもあります。
キャリー(リース・ウィザースプーン)やその周りの人たちの立場や職業がいまいちはっきりしませんが、たとえ難民といえども同情や哀れみで相対することをしないのは、まあ、それがこうした映画のパターンではあっても、とても見やすいものにしています。
マメールたち三人の堂々とした立ち振る舞いや自信みたいなもの、自分たちの家族や祖先や民族、そうしたアイデンティティへの自信みたいなものが感じられるのもとてもいいです。ジェレマイアのゲール・ドゥエイニーとポールのエマニュエル・ジャルはスーダン出身であり、ゲールの方は難民との記載(公式サイト)もあり、この映画の物語とかぶるような生い立ちのようです。
で、エンディングのパーティーシーンにありました「ロストボーイズ」という言葉に、「ガールズ」はいないのか?と、この映画にもアビタルというマメールの姉がいたではないかと気になってそのまま「ロストボーイズ」でググってみましたら、いきなりウィキの「スーダンのロストボーイズ」という言葉がヒットしてしまいました。ガールズはどうなったのかのこだわりはともかく、固有名詞のように使われる言葉なんですね。知りませんでした。
見終えても、あまりいいタイトルとは思えない「グッド・ライ」ですが、最後に分かります。