そんなには褒めないよ。映画評

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さざなみ/アンドリュー・ヘイ監督

俳優2人の演技はともかく、30代の夫婦に起きたことを70代の老夫婦が演っているような違和感を感じます

2016/05/10

昨年のベルリンで女優賞と男優賞を受賞しています。

俳優の名前を記憶するのが苦手な方ですので、シャーロット・ランプリングさんと名前を聞いても映画が浮かんできません。ググってみましたら、ああ「リスボンに誘われて」でライムントが訪ねて行くアマデウの妹役の俳優さん! それに「スイミング・プール」の作家さん!と、何本か見ていますね。

トム・コートネイさん、何とこちらも「リスボンに誘われて」に出ていました。アマデウを知る活動家のおじさんでした!

土曜日に結婚45周年の記念パーティを控えるジェフとケイト。しかし月曜日にある手紙が届いたことで、彼らの45年の関係を大きく揺るがしていく。山岳事故で死んでしまったかつての夫の恋人のゆるぎない存在が、突如として夫婦の関係に入りこんできたとき、夫は過去の恋愛の記憶を日毎に蘇生させ、妻は存在しない女への嫉妬心を夜毎重ねていく。

シャーロット・ランプリングさん70歳、トム・コートネイさん79歳、年齢どんぴしゃの感じで、結婚45年目の老夫婦を演じています。

確かに受賞にふさわしい演技だとは思います。

ただ、それを否定するつもりはありませんが、どちらも一本調子で変化がなく飽きますね。

これは、俳優のせいではなく、監督の、あるいは脚本のせいだと思います。

夫ジェフは、若い頃の思い出にまどろんだまま、最後まで妻を傷つけっぱなしですし、妻ケイトはケイトで、まるで20代や30代のカップルのように嫉妬しまくりです。

さすがに45年も一緒に暮らした70代の夫婦とすれば、仮に同じ手紙が舞い込んだとしても、問題がこんな風に表面化することはないでしょう。

まあ映画だからということなんですが、70代の夫婦でありながら、やっていることは30代の夫婦の愛憎劇みたいな感じです。

もちろん、70代が枯れているという意味ではないのですが、30代の話なら、氷の中の恋人の話も、当然何らかの進展があるでしょうし、それによって夫婦の間も、危機なり、再出発なりというシナリオが見えてきますが、70代ともなると、映画でも言っていますが、そもそもスイスへ行くこともままならないわけですから、45年の歳月の様々な内面的なものを見せるべきじゃないでしょうか。

20代そのままの姿で氷に閉ざされた恋人というイメージが、ジェフを一気に過去に引き戻して、後戻りできなくさせちゃいましたかね? ケイトもそれに引きづられて熱き嫉妬心が蘇ってきたとか、まあそれもありかもしれません。

ただ、ラスト、ケイトがジェフの手を振りほどくカットで終わっていますが、あれは映画的には決別ですよね。二人はどうするんでしょう?

月曜日から一日一日とカウントダウンしていく手法も、何らかのことを起こすなり、内面的な起伏を描くなりして物語を進めてもらわないと、何も変化しないのに、なぜカウントダウン?と鬱陶しいだけです。

この映画、随分前から予告編を見せられていましたので、本編を見る前から、いくつかのカット、たとえば、夫が妻に「彼女が生きていたら結婚していた?」と尋ねられ、「そのつもりだった」と答える場面とか、その女性のスライド写真を見て呆然とする妻のカットとかが焼き付いていました。

で、結局、本編を見ても、その印象以上のものが感じられなかったという映画です。

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