オン・ザ・ミルキー・ロード

ぶつ切れで映画にならず

エミール・クストリッツァ監督の新作です。「アンダーグラウンド」は、その濃さ(笑)や斬新さにおいてかなりインパクトがありましたが、なぜかそれ以外の映画は見ていないような記憶で、自分自身ちょっと不思議な感じです。

エミール・クストリッツァ監督は、ミュージシャンとしても、俳優としても活躍しているとのこと、この映画では主役で出演しています。

さらに相手役は、あのモニカ・ベルッチ、って、「あの」と書いた意味が自分でも分かりませんが、花嫁役(え?)とのこと、どうなるんでしょう?

監督:エミール・クストリッツァ

世界三大映画祭を制した『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』のエミール・クストリッツァ監督 9年ぶりの新作!スクリーンから溢れ出る圧倒的なエネルギーと、予測できない奇想天外なストーリー!戦争が終わらない国を舞台に、ミルク運びの男と美しい花嫁の愛の逃避行がはじまる。(公式サイト

性に合わないのか、30分もせず飽きてしまいました(笑)。

あまりよく知りませんので他の映画でどうなのかは分かりませんが、少なくともこの映画では、「俳優」に力が入っているのか、「監督」に集中していませんよね。

とにかく、ぶつ切れで映画にリズムがありません。

映画の方向性としては「寓話」ということになろうかと思いますが、残念なことに寓話にしてはシンプルさが足りず散漫です。

後半は、コスタ(エミール・クストリッツァ)と花嫁(モニカ・ベルッチ)の逃避行に絞られるのですが、それに至る前半が何やらごちゃごちゃして集中できません。

冒頭は、動物たち、アヒル(かな?)やはやぶさ(?)などの動物を、どうやって撮っているんだろうと思わせつつ、うまい具合に、これは寓話なんだよと宣言している風に始めています。

これは結構良かったのですが、その後の展開が、ひとつの大きな流れよりもワンシーンずつの面白さで見せていく手法で映画作りしているらしく、面白い、小休止、面白い、小休止の連続では映画になりません。

各所に反戦のメッセージや生きることの本質みたいなテーマが見え隠れするのですが、如何せん、これは映画ですので、まずは見るものを集中させ引っ張っていってくれないとそうした大切なことが伝わってきません。

「寓話」というのは、言葉で言えば一言なのに、一言にすることによって削ぎ落とされてしまった、その言葉にまとわりついている歴史やら人々の感情やらをあらためて付着させる作業なわけですので、その言葉がそれこそバーンと出てこなければ失敗ということになると思います。

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