そんなには褒めないよ。映画評

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ひかりのたび

父親役の高川裕也が異彩を放っていたことと志田彩良に期待

2017/10/18

澤田サンダー監督ってどんな人? と気になったのと、下の画像にあるしっかりした表情の女性は誰だろう?と興味を持った映画です。

澤田サンダー監督は、下に引用した通りで、いろいろ多方面のことが書かれていてよく分かりませんが、これが長編デビュー作なんですかね。 

女性は志田彩良さん、まだ18歳、こちらもほぼデビュー作のようです。

監督:澤田サンダー

2007年に絵本「幼なじみのバッキー」を発表、岡本太郎現代芸術賞入選の経歴を持つ新たなる才能・澤田サンダーの商業映画デビュー作。2010年に東京芸術大学大学院映像研究科に入学し、同年には短編作品『惑星のささやき』で伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞中編の部グランプリ受賞。そして2015年度の同映画祭にて本作で史上初となる二度目のグランプリに輝いた。(公式サイト)

なかなか先が見えてこない映画なんですが、それなのに、何か気になって見てしまうという映画です。

高校生の奈々(志田彩良)が朝起きると、すでに父はいない、電話をすると、父は田んぼの真ん中の車の中にいる、男が車の窓をコンコンと叩く、父は男に封筒に入ったお金を渡す、男は話がある、ここは目立つのでこっちへ来いという、二人は里山らしき山の中へ入っていく、話しながらどんどん山の中へ入っていく、って、どういうこと?(笑)。

そもそも、目立ちたくないのなら、田んぼの真ん中なんかに車止めないでしょう(笑)。

それに、ちょっと来いといって入った山は、さっきの田んぼの中からずいぶん遠いと思いますが(笑)、と、導入はかなりつらい入りです。

ただ、なんか捨てがたいのは、奈々の父親の植田登(高川裕也)が、何とも言えない存在感を持っているんです。見るからに真面目そうなんですが、何か裏がありそうな、と思わせつつ、ただ普通なだけなのか、何だかよく分からない存在感なんです。

いやあ、この人、面白いですね。

一方、奈々の方は、自転車で学校へ行き、何か気に病んでいるような、あの年齢特有の憂鬱感というか、そんな感じを漂わせています。

そして、帰り、自転車置き場へ行きますと、自転車のサドルやタイヤが切り裂かれています。驚いた節もなく、またかという感じで、父親に電話をします。

ええ!?、結構、親子関係はいいんだと、とにかく、よく分からない人間関係が続きます。

と、あと2,3人の登場人物が絡んでくるのですが、よく分からないまま、ほぼ3分の2くらいまでそんな感じですかね。

結局のところ、父植田昇は、不動産会社の社員としてあっちこっち地方都市へ行き、土地を買い付けては売るという仕事をしており、奈々は父とともに幾度も転校を繰り返し、この土地は数年、4年だったか住んでいるということのようで、父の仕事は土地のものに恨まれることも多く、自転車の件はそのためだということだと思います。

このまま物語を書いていきますと長くなりそうなので省略しますが、何かもやもやしたままなのは、要は一本通ったものがないからです。

土地を買おうとしているのを「外国人」と表現していますが、明らかに中国人のことで、そのことを問題としているのか、あるいは、地域格差における地方都市の疲弊を問題にしているのか、何を軸に話を進めていこうとしているのか、最後の最後までわからないのです。

最後の最後と書きましたが、最後にわかります。

「親子」です。

最初から、何だか、この親子、よくわからないなあ、つまり、いい関係なのか、理解し合えていないのか、しようとしていないのか、でも、さほど悪い関係でもなく、互いにこだわりなく感じますし、と思って気になっていたのですが、結局、最後に、遠くながらも、二人で笑顔を見せて、親子関係を確かめ合っていました。

映像が白黒であること、初っ端から不穏な音楽をつけていること、台詞の多くがアフレコではないかと思いますが、なんか台詞が厚いんですよね、そうしたことの積み重ねで、ああ、いやいや、一番は、父親の高川裕也さんと志田彩良さんの不思議な魅力なんですが、そうした相乗効果で見られる映画にはなっていました。

ただ、これだけでは映画としてはもちません。

「アレノ」の山田真歩さんが出ていました。

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