ヒーリング映画、サウンドスケープ、再び会うことのない出会い…「ゴースト・トロピック」と同時公開されているバス・ドゥヴォス監督の2023年の「here」です。昨年のベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門で最優秀作品賞と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞しています。エンカウンター部門というのは2020年から始まった部門で、ウィキペディアには「イ...
半地下はまだマシ…って、まるで関係ないじゃん(笑)…監督は、日本の公式サイトによれば「ポン・ジュノ監督らを輩出した名門映画学校、韓国映画アカデミーで学んだ、若干29歳のイ・ソルヒ監督」です。脚本、編集もイ・ソルヒ監督です。ビニールハウス / 監督:イ・ソルヒプロットの面白さだけでは映画にならない…プロットやその展...
とじた瞳にうつるものは、よみがえった記憶なのか、あるいは追憶なのか…ビクトル・エリセ監督、31年ぶりの長編です。現在83歳ですし、50数年のキャリアがありながら長編は4本しか撮っていない寡作の監督ですから、この映画が最後の長編ということになりそうです。ただ、IMDb を見ますと2000年以降は短編をコンスタントに撮っているようですし、それ以前も単にデータ...
見知らぬ男はサラのリビドーとタナトスの発現か…なかなかお勧めできる映画がない今日この頃ですが、この「PIGGY ピギー」はスペイン映画ですし、ちょっと変わった感じがしておもしろそうです。日本の公式サイトを見ますとあまり売る気がなさそうですので逆に興味がわきます(笑)。PIGGY ピギー / 監督:カルロタ・ペレダ青春屠殺...
表現主義的、絵画的ヴィジュアルで描かれる1920年の悪夢的ウィーンの街…なぜ邦題を「ヒンターランド」ではなく「ヒンターラント」としているのかと思い、ドイツ語の発音を調べてみましたら、確かに「ラント」のほうが近いですね。ドイツ語のオーストリア映画ですので、おそらくそうした理由からでしょう。「ヒトラーの贋札」のステファン・ルツォヴィツキー監督です。2...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価世界中が、吸い込めば10秒で死にいたる「ピンク・クラウド」に覆われてしまい、誰も外に出られなくなってしまったという、新型コロナウイスルによるパンデミックを思わせる映画です。ただ、描かれるシーンは二人の男女とその子どもだけの密室映画です。ピンク・クラウド / 監督:イウリ・ジェルバーゼ...
中川翼と長澤樹と成田監督のCM的センスで持っている正月休みにDVD視聴した「光を追いかけて」です。これ、いいですね。タイトルさえ目にした記憶がないということは某地域では公開されなかったということでしょうか。CMディレクターの成田洋一さんという方が「故郷秋田の地を舞台に学生時代からの目標だった映画の製作を決意(公式サイト)」して撮ったという映画です...
ジャン・コクトー「人間の声」を再び翻案、現実と非現実、飛び出す女ジャン・コクトー「人間の声」の翻案ものといえば、アルモドバル監督は、すでに「神経衰弱ギリギリの女たち」で一度試みています。ただ、その映画は翻案というよりも、発想の原点といいますか、触発されたといいますか、ほとんど原作の原型をとどめていませんのであらためて挑戦したということなんでしょう。今度は...
至福の料理をめぐる愛と追憶の物語「俺のブタを返せ。 ニコラス・ケイジが愛するブタを奪還する、慟哭のリベンジスリラー!」なんて、どうせ宣伝文句だけなんだから騙されずにおこう、と思っても、そりゃ、見ますよね(笑)。PIG ピッグ / 監督:マイケル・サルノスキどこへ行くのだ? この映画オレゴンの森に世捨て人の男がいます。...
大人にはおとぎ話にみえる子どもの非現実的現実「燃ゆる女の肖像」で一躍その名が知られる(日本では)ようになったセリーヌ・シアマ監督の2021年の最新作です。その間にはジャック・オディアール監督の「パリ13区」の脚本を書いています。また、昨年劇場公開されている「トムボーイ」は2011年の映画です。秘密の森の、その向こう / 監督:セ...
映画は記憶の深層に到達しておらず…川村元気さん、東宝のプロデューサーとして、私の見ている実写版の映画だけでも「電車男」「告白」「悪人」「怒り」「何者」「来る」「ラストレター」「キャラクター」などのヒット作(らしい)を担当し、アニメでも「君の名は。」や「天気の子」などに企画・プロデュース(ウィキペディア)として名前があがっています。その川村元気さんの初の長...
正統派伝記映画にすべきだった映画の邦題というのはどんなタイトルをつけてもあれこれ言われるものだとは思いますが、それにしても、この「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」はもう少し考えないと長すぎて肝心の「ビリー・ホリデイ」が三点リーダーに省略されてしまいます。「奇妙な果実」とかにすればよかったんじゃないでしょうか。ビリー・ホリデイの代...
人種差別、人身売買。エンターテインメントか、社会批判かよく練られたシナリオに作り込まれた映像、面白い映画です。ただ、批評性をもったテーマですので、エンターテインメント性が強い分、つくり手自らにその批評性がはね返ってくるのではないかと思います。監督はチェニジア出身のカウテール・ベン・ハニアさん、2005年くらいからドキュメンタリーやショートの作品がクレジットされ...
女たちよ、失敗を恐れるな。やり直せばいいのだ。「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」で主演のビーニー・フェルドスタインさんありきの映画です。全シーン出ずっぱりです。内容は、キャトリン・モランというイギリスのジャーナリスト、作家、テレビ司会者など多方面で活躍している方の自伝的小説の映画化とのことです。ビルド・ア・ガール / 監督:コーキー・ギェ...
児童虐待が人情噺に利用されている現在の社会問題を昭和の価値観で片付けてしまってはなにも生まれないと思います。「10ANTS」という劇団の上西雄大さんという方が監督であり、主人公である男性を演じている映画です。劇団(兼芸能プロダクション)のウェブページをみてみますと、「かつての大映映画」とか「浪速の人情」などの言葉が踊っていますので、ああ、そういうことねと、それ...
松山ケンイチさんの映画としか言いようがないこの映画、松山ケンイチさんのそこまでやるか?!につきます。「BLUE/ブルー」ではボクサーらしい身体に絞りきっていましたが、こちらは20kg増らしいです。その「BLUE/ブルー」を見た際に見ていないことを思い出し見てみました。聖の青春 / 監督:森義隆不思議の世界、将棋界松山ケンイチであることを忘れる...
映画のつくりやカメラワークが洗練されている映画らしい映画です。プロの技みたいなものも感じます。ペマ・ツェテン監督、初めて見ました。フィルメックスでは過去の作品も何本か上映され、この「羊飼いと風船」を含め3度の最優秀作品賞を受賞しているようです。また、今年の3月には岩波ホールで「チベット映画特集」があり、ペマ・ツェテン監督の作品も「オールド・ドッグ」と「タルロ」...
(DVD)不幸物語オンパレードをDVDで見るのはつらい「新聞記者」を見たときに、プロデューサーの河村光庸さんが映画化にあたってこの人ならと監督をオファーをしたのが藤井道人さんであり、その藤井さんは「政治も勉強したことがないし、自分で新聞も取ったことがなかった(HUFFPOST)」などと最初は断ったという記事を読み、どんな映画を撮る人なんだろうと興味を持って見た映画...
映画は俳優がつくる。田中裕子、佐藤健、佐藤亮平、松岡茉優俳優でもっている映画でした。田中裕子さん、佐藤健さん、鈴木亮平さん、松岡茉優さん、特に兄弟妹三人、それぞれの人物設定はステレオタイプであっても、映画のシーンとしてはとてもよいバランスでした。ひとよ / 白石和彌白石和彌監督の映画は、デビュー作(かな?)の「ロストパラダイス・イン・トーキョー」から...
マイク・リー監督の関心は歴史ものに移っている?マイク・リー監督、前作の「ターナー、光に愛を求めて」あたりから、興味の向く先が歴史ものに変わっちゃったんですかね。それに、そのターナーにしてもこのピータールーにしても、映画化するまでは知らなかったと語っているようです。ピータールー マンチェスターの悲劇 / 監督:マイク・リー私の見てきたリー監督の映画、「...