というほどのネタはなく、ボーイズラブ的美しさの映画かと思う
随分前から予告編をやっていたんじゃないでしょうか、すでに見た映画のような印象です。
それにしてもこの(チラシやサイトの)ブルー、合成でしょうが、Windows Blue のようなブルーで、印象深いですね。ふたりの気持ちの深さのブルーなんでしょうか。
監督は、「ミラノ、愛に生きる」「胸騒ぎのシチリア」のルカ・グァダニーノさん、とは言っても、初めて見る監督です。1971年生まれですから、47歳くらいだと思いますが、ウィキペディアで見る写真から受ける印象からしますとまだまだ若い監督さんです。
監督:ルカ・グァダニーノ
んー、予告編以上のものが感じられない映画ですね。
エリオ(ティモシー・シャラメ)とオリヴァー(アーミー・ハマー)のひと夏の恋、嫌味でも何でもなく、ただそれだけを追いかけた映画です。
1983年夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオは、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァーと出会う。彼は大学教授の父の助手で、夏の間をエリオたち家族と暮らす。はじめは自信に満ちたオリヴァーの態度に反発を感じるエリオだったが、まるで不思議な磁石があるように、ふたりは引きつけあったり反発したり、いつしか近づいていく。やがて激しく恋に落ちるふたり。しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づく……。
ふたりはともに男性ですので同性愛ということで、最近では同性愛でもセックスシーンも描かれ、この映画ではキスシーン以外の肉体的な絡みはほとんどありませんが、それでもかなり性的表現は出てきます。
おそらく美しく描こうとし、ではあっても作りものくさくはないリアリティをもたせようとしたのでしょう、ふたりの絡みやエリオの悶々たる気持ちの表現はかなり力を入れて描かれている印象です。
ただ、これ以上は踏み込まない、あるいは踏み込めないといった、どこか自制されたところがあり、たとえば、「アデル、ブルーは熱い色」のような「熱」を感じさせるような映画でないのはちょっと残念です。
「ボーイズラブ」という漫画や小説のジャンルがあることは知っていますが、実際のところどんなものかは全くわからず、この映画も見て、あるいはこういうものがそうなのかと思い、つまり、性的表現を入れつつも、美しさ(が何であるかはこの際置いておいて)重視の表現形態のある種の典型的パターンなのかもしれません。
物語は、公式サイトから上に引用したそのものであり、その後は、意外にもあっさりした別れがあり、ラストは、2年後にオリヴァーからエリオに電話があり、結婚することになったことと、君(エリオ)の両親がうらやましい、自分の両親が知れば間違いなく(なんて言葉だったか)精神的矯正施設に入れられるだろうと、1980年代であればさもありなんということを語り、エリオの動揺と悲しみとどうしようもないやりきれなさをエリオのクローズアップで、何分くらいだったでしょうか、3分くらいでしょうか、じっととらえ続けた画にエンドクレジットをかぶせていました。
印象的に感じたのは、エリオには音楽的な才能がある設定のようで、頻繁に譜面に向かったり、ピアノを弾くシーンが出てくるのですが、そうしたピアノ曲をエリオの心情の表現に使っていたことと、ドアの開け閉めのバタンといった効果音をかなり印象的に使っていたことです。
といった映画で、(私には)ややもの足りない淡白な映画ということでした。