(曖昧なネタバレ)家なし、金なし、何も持たないポーラに未来はあるか?
昨年のカンヌでカメラドールを受賞しています。元々は新人監督賞といっていたようで、日本では河瀬直美監督が「萌の朱雀」で20年前に27歳で受賞しています。
こちらのレオノール・セライユ監督は、1986年生まれとありますので31歳くらいでの受賞です。映画の主人公も31歳の女性ポーラ、恋人と喧嘩をし、住まいを追い出され、パリの街をさまよう姿を追っています。いわゆる等身大の映画ということでしょうか。
映画として面白いかどうかはかなり微妙ですが、確かにこのポーラのような女性がこうも明確に描かれた映画はなかったかもしれません。
引用の画像のように(日本の)公式サイトには「嘘つき、泣き虫、見栄っぱり」とのコピーがついており、さすがにそこまではひどく(笑)はありませんが、恋人には「俺は保護者じゃない」と突き放されたり、同僚には「野生の子ザルのようだ」などと言われています。
これまでもいろいろな女性が描かれてきていますので、こうした身勝手な(ところのある)女性もおそらく描かれてきてはいると思いますが、それは、男あっての女、男が困る女みたいな存在として描かれていたのではないかと思います。
この映画は違います。一貫して身勝手な女を追い続けます。
誤解のないよう先に書いておきますと、出てくる男たち、恋人である男も、クラブで出会った男も、同僚の男はそうでもありませんが、およそ皆身勝手ですし、男の場合、そこに甘えが加わりますので、余計たちが悪いかもしれません(笑)。
ポーラ(レティシア・ドッシュ)が夜中(かな?)にアパートの部屋の前で怒鳴り散らしているところから始まります。予告編にもありますが、ドアを叩きまくっていたかと思ったら、思いっきり頭突きです。脳震盪で倒れてしまいます。
次のシーンは病院だったと思いますが、誰が運んだんでしたっけ? 救急車の音でもありましたっけ? いきなりのことでしたので(笑)記憶していません。
その後はとにかく圧倒的な勢いで行動しまくります。家なし、金なし、持っているのは勝手に連れてきた恋人の猫くらいですので行動しなければ生きていけません。
病院では、隣の患者の赤いコートを(多分)パクってトンズラ、順序は定かではありませんが、友だちの家に転がり込むもネコを連れているので追い出され、クラブで出会った男の家では男が胸を触り始めたので「自分のを触ってな」と捨て台詞を残して飛び出し、地下鉄で旧友と間違われ、違うとわかっていながら黙ってついていき、相手をその気にさせてゴロゴロ、これは後にばれて追い出されます。何とかベビーシーター(といっても小学生くらいの子ども)&ハウスキーパーの仕事を見つけ、うまくいくかと思いきや、子どもを外に連れ出し遊んでばかりで家事は適当ときた日にゃ、そりゃ追い出されますわね、ということで、次にランジェリーショップの店員の仕事を見つけ、ここでは結構真面目に働き、ウスマン(スレイマン・セイ・ンディアイ)という友人もできたりします。
とにかく、とりとめもない感じで話が進みます。
まあ、物語を語ろうという映画ではありませんので、それはそれでいいのですが、こうして思い返そうとしますと、何があったのかあまり思い出せません(笑)。
母親との関係は結構扱いが大きかったですね。この母娘、全くうまくいっていないようです。何があってかよくわかりませんが、ポーラは若い頃に家を飛び出したんでしょう。父親のことをなにか言っていたかどうか記憶にありませんが、母はひとりで暮らしており、生活もあまりうまくいっていない感じでした。ただ、それはそれ、母娘ですから、いがみ合いながらも、ふっと気を許すシーンもありました。
なんとなく勢いのような感じでしたが、ウスマンとのセックスシーンがあり、あれ、どういうことだったんでしょう、途中でウスマンがその気をなくしたのか、うまく行かなかったのか、よくわかりませんでした。
で、これまたとりとめもなく、ポーラは自分が妊娠していることを知ります。
それらしい描写はありませんでしたが、いろいろ迷っているのでしょう。そんな時、恋人のジョアキム(グレゴワール・モンサンジョン)がポーラを探してランジェリーショップにやってきます。
二人の関係もあまりよくわかりませんが、スタートではなんとなく男のほうが愛想を尽かした感じかと思いましたが、その後、結構男の方から電話やメールあり、それをポーラが返さない状態が続いていました。
ここも前後がどうであったかあまり記憶していませんが、男の家です。男はやり直したいと言います。ポーラは子どもができたと言います。でもポーラにはやり直す気はなさそうです。男はポーラを押し倒します。
その後、その時、二人がどうなったか、これまた記憶がありませんが(笑)、こういう時、男はこういう行動を取ります。笑い事ではありませんが、映画ですので(笑)。
ポーラは、子どもを堕ろすことにします。
この後、映画がどういう終わり方をしたのか記憶がありません(ペコリ)。
と、特に批判のつもりではありませんが、本当に曖昧な記憶しか残らない映画です(笑)。
女性であれ男性であれ、こういう人物を描ききっていることはすごいと思いますが、これはかなり個的な話で、実際、男であれ女であれ、あのポーラが転がり込んできて、こころよく受け入れる心の広い(笑)人間はそう多くはないと思います。
私は無理です(笑)。
インパクトもあり、描いている人物にはある種新鮮さはあるのですが、作風がありきたりで映像として残らないので残念ですね。次作があれば見てみたいとは思います。