男の高齢者は孤独ってか、売春できらきらってか、実の家族の情は厚いってか
え、こういう話だったの。DVD を借りるときに紹介文を読んだはずなのに見ながらそう思ってしまいました(笑)。

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ネタバレあらすじ
実際にあった事件をベースにした映画らしく、新聞に「茶飲み友達、募集」と三行広告を出して利用者を集めていた高齢者専門の売買春組織を描いた映画です。
ググってみましたらこの記事がヒットしました。
多分これが元ネタですね。「ティーフレンド」ではなく風俗店「シルク」となっています。他にもテレビ朝日とか各スポーツ新聞の記事もあったようですがリンクが切れています。
実際の事件はいわゆる風俗店の熟女専門という一形態のようで、その経営者が売春防止法の周旋容疑で逮捕されたということです。周旋は斡旋のことです。
映画では、おそらく創作だと思いますが「茶飲み友達、募集」の三行広告や「ティーフレンド」のネーミングを使い、高齢者の孤独感、いわゆる寂しいってことですが、そこに焦点を絞って描いています。その営業形態も風俗店というよりも運営側は学生のサークルノリですし、派遣される女性たちも女子会ノリです。
組織のオーナーのマナ(岡本玲)はそれをファミリーと言っています。
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男の高齢者は孤独ってか
住宅街の戸建ての家で営業しています。新聞広告を見た客から電話が入りますとマナと女性が喫茶店に赴いて、お茶の相手を紹介する煎茶コースとワンランク上の関係が持てる玉露コースがあるとシステムを説明し、女性がバイアグラの錠剤をそっと差し出します。そしてホテルへということになります。あるいは直接自宅へというケースも描かれます。
戸建てのティーフレンド営業拠点には若者たち数人とティーガールズと呼ばれる女性たちがいます。若者たちはどうやって客を集めるかなどとミーティングをしています。女性たちには後ろめたさを感じさせるところもなく和気あいあいと数人で楽しそうに話し込んでいます。壁には女性たちの写真が貼られ No.1, No.2 と表示されています。
そして数人の売買春ケースが描かれます。
買う側の男性は、妻に先立たれひとり住まいであったり、妻が相手をしてくれないとか、多少の設定違いはありますが個々の人物像が描かれることはなく、すべて孤独な高齢男性というパターンであり、みなセックスを経て癒やされるという描き方です。
後半になりますと高齢者施設に入所中の男性のパターンが入り、ティーフレンズのメンバーからはお得意さんができたみたいな話もあり、また、付き添いでいったマナが高齢者施設の女性を見て母親の妄想を見るみたいなシーンもあります。
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売春できらきらってか
これだけじゃ映画にならないということでしょうか、並行して3人の人物に注目してドラマが進んでいきます。
まずは主人公のマナ(岡本玲)、マナは家庭環境があまりよくなかったのか母親との確執があり、現在母親はがん(多分…)で余命幾ばくかという状態であり、弟から頻繁に会うように催促があるにもかかわらず頑なに拒否しています。
そして後にティーガールズとなる松子(磯西真喜)、松子はスーパーでおにぎり1個を万引きしようとしたところをマナに助けられます。マナはティーフレンズでは女性たちが皆きらきらしているでしょと話し、人生変えたくなったら連絡してと言っています。松子はその後自殺しようと首に紐をかけたときにマナから連絡が入ったことで思いとどまり、マナにファミリーになりませんかと言われてそのままティーガールズになります。
この松子がよくわからないんですね。そもそも万引きの理由も語られませんし、売春行為の抵抗感も描かれません。その後松子は No.3 になり、人生を楽しんでいるかのようになります。
そしてもうひとり、ティーフレンズの若い女性の千佳(海沼三羽)、妻子ある男性と関係を持ち妊娠します。しかし男は逃げます。千佳は産みたいと言っています。男はマナやティーフレンズ専属の弁護士(かな…)に強制認知の訴えを起こすよと脅されていました。
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やはり実の家族ってか
ということが断続的に進み、終盤になり事件が起きます。
その頃、マナと松子は疑似母娘のような関係になっています。マナが母親との不仲を語り、松子が癒やすといった感じです。
松子の客がホテルで自殺を図ります。松子はそれを止めようとせず全うさせ、その後逃げたようです(よく分からなかった…)。
その事件でティーフレンドが摘発されるのではないかということになり、若者たちも女性たちも皆逃げてしまいます。
そして、どういう意図かはわかりませんが、突然、松子がその人格を変貌させ、自首しようというマナに私は悪くない、あなたが捕まればいいと言い逃げてしまいます。妊娠中の佳子は金庫から大金を盗んで逃げていました(笑)。
後日談、マナは逮捕されます。あのマナと取り調べの女性のシーン、あの女性は検事なんですかね。マナに「自分の寂しさを他人の孤独で埋めるんじゃないよ」なんて喧嘩を売って興奮させていました。容疑者を興奮させて本音を喋らせるというのも取り調べのテクニックではあるのでしょう。でも、有り得なさそうなシーンではあります。
松子も逮捕されたようです。弁護士が保護責任者遺棄とか言っていましたのでそれでしょうか。売春防止法には売春も買春も罰則はありませんので逮捕しても起訴できません。
松子は、検事(と思しき男…)があいつらに騙されていたんでしょと言うことに、騙されていてもいいんです、何もないよりずっとよかったんですと言います。だったらマナと一緒に自首すれば…。
そしてラスト、マナに実の母親が面会に来ます。なぜ来たのというマナに、母親は家族でしょと答えます。マナは家族ってなに…と言っています。
冒頭の高齢者の男のシーン、ティーフレンズに電話をするも通じず、落胆しています。
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感想、考察:説明とオチの映画
「ソワレ」の外山文治監督です。
レビューを読み返してみましたらかなり厳しいことを書いています。
この「茶飲友達」も変わっていないですね。映画が説明に終始していますし、ラストでオチをつけてしまおうというのも同じです。
説明に終始していると言ってもきっとどういうことかわからないでしょうね。
高齢者の一人暮らしは寂しいもの、男性は年をとっても買春し、そして癒やされる、家族の情は厚い、こうした外山文治監督自身の意識や価値観を2時間15分もかけて延々と説明しています。
言い方を変えれば、脳内思考で考えた物語を語っているだけでそこには生きた人物がいないということです。
そして、最後にはマナに監督自身の本音を言わせています。
「ルールから落っこちる人がいるんだよ。ルールに縛られるから誰も幸せになれないんだよ。みんな寂しいんだよ。一人ぼっちなんだよ。正しいことだけが幸せじゃない」
それにしても、買春行為をする女性たちを無人格なパターン化された人物で描いていることをどう考えているんでしょう。パターンそのものにも迷いはないんですかね。