13歳リアルな青春ということなんだろうけど…
やたら評判がいいことと、宣伝コピーの「SNSと共に生きる私たちの「いま」をヴィヴィッドに描き出し、全米で社会現象を巻き起こした痛くて優しい感動作!」を見て興味を持った映画。
あるいは、同年代の小中学生が見て、映画の中に自分がいると感じる子どもがいるかも知れませんが、大人が見て楽しめる映画ではありません。ただし、同年代の子が見るといっても、アメリカではR指定で17歳以下は同伴じゃないと見られなかったようです。日本ではR指定はありません。
主人公のケイラは8年生ですので13歳、日本の中学2年に当たります。その年代の日常そのものが描かれているんだと思います。特別何かが起きるわけではありません。それがリアルでいいということなんでしょう。
8年生は中学最後の年、卒業を前にして、ケイラは「学年で最も無口な子」に選ばれるなど目立たない(設定の)子です。毎日(じゃないかも)ユーチューブに動画をあげていますが、ほとんど誰も見ていないようです。
こうした物語の定番、人気者の女の子にモテ男くんも出てきます。例によって、人気者の女の子のバースデイパーティーに誘われます。例によって、その女の子は望んでいないことを母親が無理矢理誘わせるというパターンです。
ただ、この後がちょっと違います。こうした青春もののパターンですと、このパーティーで主人公は何らかの失策をするものですが、ケイラはいつも通り、ひとり浮いた状態にいるだけで何も起きません。
この後も、モテ男くんとややエッチ系の会話をしたりしますが、これもそれだけです。
高校の体験入学があります。必ずひとり高校生のパートナーがつくようです。ケイラについてくれた子はとてもいい子です。その夜、意を決してケイラが電話をしますと、友だちと買い物に行くから一緒に来ないかと誘われます。
その帰り、その友だちの男の子が車で送ってくれるのですが、車の中でややエッチ系に誘われるのですが、きっぱり断り、何もありません。
本当に何も起きません。目立たない子が何かのきっかけで皆に認められ自信を持つというミラクルも起きませんし、逆にとことん落ち込み何らかの事件が起きるなどということもありません。
最後は、中学入学時に卒業する自分に送ったタイムカプセルを燃やし、新たに高校卒業時の自分に「世界でいちばんクールな私へ」と書いたタイムカプセルを埋めて終わります。
こうしたある種定番の青春物語でありながら、その定番パターンを破った映画ということです。それがこの映画の良さであり、高評価の原因なんだろうと思います。
それにしても、いまの子どもたちは可愛そうだなあと思います。ただし、私が子どもの頃も、おそらく大人たちから同じように思われていたんだろうとは思います。