二階堂ふみばかりをフィーチャーしすぎてドラマ自体が不明確になってしまった アイドル映画のようだ
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この映画、公開前の露出がやたら多く感じられ何だろうと気になっていたこともあり、公開そうそう見てきました。ニコニコも製作に入っているのか公開記念企画で過去の映画の無料放送もやっていました。
最初に書いておきますが、いい印象はあまりないですね。
一番感じることは、二階堂ふみさんばかりをフィーチャーしすぎてドラマそのものが不明確になっているように思います。
腐野淳悟(浅野忠信)はなぜ花(二階堂ふみ)を引き取ろうとしたんですかね? 何か見逃したのか、聞き逃したのか、よく分かりませんでした。花の淳吾に対する思いはなぜあんなにも強いんですかね? これまたよく分かりませんでした。
結局、映画はそれには答えてくれず、そうした思いがすでにあるものとして描かれているわけで、熊切和嘉監督は疑問に思わなかったんでしょうかね? いくら「私の男」「私の男」と叫ばれようが、親子ですからね、それもどうやら実の親子らしいという込み入った人間関係にあるようですから、「禁断の愛」の言葉だけで済ましていいわけもなく、結局、好きだ!好きだ!連呼の年の離れた男女の恋愛もの以上のものは感じられなかったということです。
ましてや、少し引いて考えれば行為は幼児への性虐待とも言えるわけで、4、50年前でもあるまいし「禁断の愛」で済ますセンスが分かりません。最初に二人の性行為が描かれるのは花が高校生の時ですが、すでにそれ以前から行われているらしく、であるなら余計に「愛」だけでは済まされないでしょう。
私は、映画が性虐待や近親相姦を描くことにどうこう言おうとしているわけではなく、たとえば、もし花が淳吾に性的な意味も含め愛情を感じているのなら、その愛情は何なのか、どこからやってくるのかを描こうとするべきだと思います。当然ながら、二人は庇護、非庇護の関係にあるわけですから、花の淳吾への執着を「愛」だけで片付けていいわけはありません。
まあそうは言っても、性虐待や近親相姦を真正面から描こうとしていたら、こんなに楽な気分で見られる映画にはならなかったかも知れません。結局、逆説的に言えば、ものごとの核心に触れていないからこそ、そこそこ評価もよく(かな?)、ちょっと変わった男女の恋愛物語のように、広く公開できるということなのでしょう。
それにしても、物語が細切れでひとつ筋の通った物語という感じがしないのはなぜなんでしょう? シナリオが悪いのか、監督が悪いのか、迫るべきテーマはいっぱいあるのに、結局ひとりの俳優人気におんぶしたアイドル映画のようになってしまったようです。
もちろん二階堂ふみさんのことです。主演男優賞を取っているようですが、浅野忠信さんにはこんな屈折した人物、無理です(笑)。浅野忠信さんの魅力はもっと違うところにあると私は思います。