レンタル・ファミリー

子どもの思いや感情を弄ぶことをきれいごとで描いてはダメじゃないの…

37セカンズ」のHIKARI監督です。その映画は主演の佳山明さんでもっていた映画で、演技未経験ながら堂々たる存在感でしたのでその後どうされているんだろうとググりましたら、俳優として活躍されているようです。

レンタル・ファミリー / 監督:HIKARI

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ネタバレあらすじ

この映画も主演俳優でもっている映画です。HIKARI監督は、主役で物語を展開させていくことがうまい監督ということでしょう。

ザ・ホエール」のブレンダン・フレイザーです。日本で俳優をしているアメリカ人という設定です。他はすべて日本の俳優ですが違和感なくうまく収まっていました。

「ザ・ホエール」ではアカデミー賞主演男優賞受賞でしたね。

映画の内容はタイトルそのままの代行サービスを描いています。今では代行サービスもいろいろあるようですが、この映画は「レンタル・ファミリー」ですので家族関係の誰かの代行によって起きる顛末を描いています。、代行というよりも、むしろ代行すべき本人はいないことが多いケースですので代理といったほうが正しいかも知れません。

結婚式の新郎の代理、小学校入学のための父親の代理、引退した有名俳優への取材記者の代理の3つを軸に進みます。

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新郎代理エピソード

フィリップ(ブレンダン・フレイザー)は俳優です。あまり仕事はなさそうです。CM 出演が1本とイベントでの着ぐるみ仕事が描かれていました。ただ、映画終盤に過去のドラマ出演の映像が流れるシーンがあります。

マネージメント事務所から内容はよくわからないがギャラはいいからとにかく黒服を持って行ってくれと依頼が入ります。

このシーン、かなり意味不明なシーンで、生前葬の参列者の依頼ということのようでしたが、フィリップはまったく何の役割もすることなく ? ? ? の顔をしているだけでした。フィリップを代行業者の多田(平岳大)に会わせるだけのシーンです。

そういう映画ですのでプロット的にあれこれツッコミを入れるような映画ではなく、まあそういうこともあるかもねくらいの気持ちで見ていかないと乗り遅れます(笑)。

まず結婚式の新郎代理エピソードです。

このエピソードでは代行サービスそのものよりもフィリップの迷いを描くことがポイントになっています。人を騙すとか、嘘をつくとか、そうした罪悪感からなんでしょう、挙式直前になってトイレにこもってしまいます。それでも何とか役割を終えてその迷いを吹っ切ります。

というのは、その新婦(森田望智)はレズビアンであり、親を喜ばすために結婚式を挙げたということで、式後には控室にパートナーが待っており熱いキスを交わしていました。

あれ、新郎側の参列者も仕込みということだと思いますが、なぜか日本人ばかりでした。ああ、職場の人たちね(笑)。それにいくらなんでもこの設定は無理でしょう。

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父親代理エピソード

新郎代理エピソードのラストカットでは、フィリップのやってよかったといった笑顔で終えていましたのでこの手の迷いはなくなります。逆に違う迷いが生まれることで終盤に向けてのドラマを作っていくことになります。

母子家庭の母親から娘の小学校入学のために父親を演じてほしいとの依頼が入ります。私立の有名小中高一貫校ということでしょう。この依頼はまさしく代理ということになり、娘美亜(ゴーマンシャノン眞陽)にも信じ込ませるという依頼です。

最初はいきなり知らないおじさんがお父さんだといって現れるわけですから、当然美亜は拒絶します。でも、化け猫まつり(神楽坂化け猫フェスティバル…)やデジタルコンテンツ(チームラボボーダレス…)を楽しむうちになついでくるという展開です。

この父親代理エピソードと次に書く記者代理エピソードは並行して描かれていきます。

まず、この父親エピソードを締めておきますと、フィリップと美亜の両者に親子感情が生まれてしまい、母親が動揺して父親代理は終了となり、その後美亜がテレビでドラマに出演しているフィリップを見て嘘がバレてしまうという展開をたどります。

これはやさしい映画ですので、美亜が反抗して家出してしまうとか、悪い道に走ってしまうというようなことにはならず、ラストではフィリップが父親ではないことを知った上で受け入れるということでまとめています。

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記者代理エピソード

これは引退した老齢の俳優喜久雄(柄本明)の自尊心を満たすための娘から依頼ということかと思います。海外メディアの記者としてインタビューをするという役割です。

これも不自然な設定だなあとは思いますが、それは置いておくとしても取材シーンで何をやっていたのかよく思い出せません。要は取材などしていなくて、実はこのエピソードもフィリップが自分の父親の姿を喜久雄に重ね合わせていくという、言うなれば、逆父親代理エピソードみたいなドラマになっているということです。

で、喜久雄は死ぬ前にもう一度故郷の天草に帰りたいから連れ出してくれとフィリップに頼みます。フィリップは最初断りますが、同時に進行している美亜とのことで気持ちが揺れ動いていることもあり、ある朝喜久雄宅に忍び込んで連れ出し天草に向かいます。

二人はかなり深い山道へ入っていきます。喜久雄が突然地面を掘り始めます。フィリップも手で掻き出し始め、そして出てきたのは壺です。喜久雄は中から古い写真を取り出し、東京に出る時に別れ、その後病で亡くなったと聞いたと嘆き悲しんでいます。写真にはセーラー服の少女と学生服の少年が並んだところが写っています。

なぜ喜久雄は写真を持っていかずに埋めていったんでしょう(ツッコミゴメン…)。

廃屋があります。どうやら喜久雄の生まれた家のようです。二人は酒を飲み交わしています。翌朝、喜久雄が見当たりません。フィリップは探し回り、倒れている喜久雄を発見します。

喜久雄の娘が告訴して誘拐事件となります。その後の経緯は適当に流されていますので省略ということにして、結局告訴を取り下げられフィリップは解放されます。

喜久雄がそのとき死んだのか、その後死んだのか記憶はありませんが、喜久雄の葬儀です。雨のシーンでした。唯一現実感のあるシーンでした。うまい具合に雨が降ったのか、雨の中のフィリップの屋外のカットがなければ俯瞰の画は別撮りかも知れませんね。

という記者エピソードが語られ、その後にフィリップとして美亜との再会があり、ラストシーンは多田のレンタルファミリー事務所も盛況となっており、4人で神社にお参りするところで終わっています。フィリップと事務所の女性中島(山本真理)とは付き合い始めたようなカットになっていました。

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感想、考察:大人の感動に子どもを使っちゃダメ

ファンタジーですのであれこれツッコミを入れるような映画ではありません。ただ、一度、エーー!? と思ってしまいますと気になることがあまりに多い映画ではあります。

書いていないこともいくつかあります。フィリップがデリヘル(安藤玉恵)を呼んでいるシーンが2シーン、中島が浮気した男の妻に浮気相手として謝罪代行をするシーンが2シーン、ひとつは妻から平手打ちされ、もうひとつは映画終盤ですので仕事に嫌気が差したということなんでしょう、すべてぶっちゃけていました。そして、さすがにこれはないだろうという、多田の家庭のシーンが2シーンあり、ふたつ目では妻と子どもがレンタルファミリーだったとしていました。

さすがにダメでしょう(笑)とは思いますがそういう映画です。

まあきれいごとでつくられた映画にどうこう言っても始まりませんが、相手の感情を弄ぶという罪づくりなことをあたかも素晴らしいことであるかのように描くのはいいことではありませんね。

父親代理エピソードの話です。新郎代理はそもそも設定として無理な話ですし、記者代理は単に天草へ連れて行くだけの役割ですのでまあいいとしても、父親代理は子どものことをまったく考えておらず、大人の感動のためにドラマを作っています。