ステレオタイプ価値観に頼っていては少女たちの繊細な心理は描けない
今週の公開作、まずはこれを選んでみた、けれど…。
最近時々名前を目にするようになった當真あみさんとはどんな俳優さんかと見てみた、けれど…。

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ネタバレあらすじ
女子高校の生徒たちの人間関係を描いた映画です。
率直に言って見なくてもよかったです。特にどうこういう描き方もなく映画として凡庸です。
主人公が自分とは違ったキャラクターの人物と出会って惹かれていくが、ある時その人物が自分のことを見下していると知り、シカトすることで仕返しするものの、結局、最後には自分自身が集団から除け者にされることになり、しかしそうしたことも時が経てば思い出となっていくという話です。
物語自体はありきたりだとしても描き方によってはなにか新鮮な感覚が見いだせることもあるとは思いますが、こうした物語で一番重要な人物造形ができていないために人物像がはっきりせず、さらにその人物が何を求めているのか曖昧すぎます。
現実はそんなもんでしょ、なんていっていたらダメで(言っていないか(笑)…)、その現実から何を見出すかが映画のやることです。
それに何をおいても、なかなか映画のポイントが見えてこないのは問題です。まあ、結局最後まで見てもよく分からなかったんですが(私が悪い?…)、映画なんですから何をやろうとしているかは早めに示さないと見ている方は離れちゃいます。あるいは何をやろうとしているかわからないけれどもなにか圧倒的な力を見せるかです。
それにもうひとつ、音楽でドラマをつくるのはダサいです。音楽がうるさいです。
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わだかまりも時とともに…
中高一貫の女子高校です。希代子(當真あみ)は内部生、同じく内部生の奈津子(平澤宏々路)とは中学時代から親しくしています。
そこに外部生の朱里(中島セナ)が現れます。最初の登校日、朱里は真っ青のワンピースで登校してきます。
内部生には、恭子(南琴奈)という華のある(という設定…)生徒がいます。恭子のまわりにはいつも数人の同級生が集まっています。
という4人、実質的には希代子と朱里2人の話です。
希代子は朱里に興味を持ち始め、朱里から話しかけられることで親しくなっていきます。ある日の朝の駅、朱里は学校の最寄り駅には停まらない急行に乗って終点まで行き江ノ島の海を見るのが好きだと言い、希代子の手を取って急行に乗り込んでしまいます。希代子は通過した学校の最寄り駅を見て不安になったのか、次の駅で降りてしまいます。
朱里の父親は有名な写真家ということで、朱里自身もあっちこっち海外生活があり自由な発想をするという設定です。希代子はそんな朱里に憧れのような気持ちを持っているという設定だと思います。ただ、映画はそうしたステレオタイプな価値観を利用しているだけで2人ともそうは見えません。
とにかく、その後も2人はより親しくなっていくのですが、希代子が朱里の家を訪れた際、朱里の日記に自分のことが似顔絵付きで途中で降りてしまう臆病者だと書かれているのを見ます。希代子はその日記を持ち帰ります。
その日から希代子は朱里を無視し始め、恭子たちのグループに入ります。そして学園祭の出し物に、首里が恭子たちを見下すように言っていたマリー・アントワネットのカフェという企画を提案し採用されます。そしてグループの中心人物のようになっていきます。
学園祭ではイベントの舞踏会に突然朱里が登場し、希代子をダンスで翻弄します。そのことに苛立ってなのか、希代子は朱里の日記をドライバー(だったかな…)で無茶苦茶に傷つけ、朱里の机の上に置いておきます。
それを機に、希代子が朱里の日記を盗んだということでクラスからのけものにされるようになります。希代子は中学時代から親しくしていた奈津子に近づきますが、奈津子は拒否します。
そして数年後、希代子は母親のやっている呉服屋さんの手伝いをしています。希代子は朱里がどうしているか知りたくて恭子や奈津子に会います。2人は高校時代のことをそんなこともあったねと話しています。
朱里は美大で学んでいるようです。その展覧会、希代子は江ノ島の海を描いた絵の前で止まりじっと見つめます。
そして、幻想シーン(多分…)、絵の前で希代子と朱里が学園祭の舞踏会とは違い、優雅に踊っています。幻想シーンでなければ関係が復活したということかもしれませんね。
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感想:江ノ島の海の青さはどこに?
どんなこともで時が解決するってのはこういう映画ではちょっと新鮮かもしれません(笑)。
とにかく、すべてにおいて描写が浅すぎます。見る側のステレオタイプ価値観を利用していてはいい映画にはなりません。
希代子が朱里に好意を持つことも、逆に裏切られたと考えて悪意を持つことも描けていません。朱里も自由奔放には見えません。ラスト近くに希代子が奈津子に近づいた時、奈津子がずっと私を無視していたと言うシーンでも、え、そうだったの?という感じです。
一番問題なのは、江ノ島の海、そして「青」が生きていないことです。
柚木麻子さんの原作があるようです。
4編の連作集で Amazon の紹介文には
華やかに見える少女たちの日常に潜む、複雑な心情と、絡み合う人間関係。少女たちの繊細な心理描写が各紙誌で絶賛されたオール讀物新人賞受賞作「フォーゲットミー、ノットブルー」を含むオムニバス四篇
とあり、残念ながら映画には小説の肝であるだろう「日常に潜む、複雑な心情と、絡み合う人間関係」が描けなかったということです。