(DVD)三浦透子、井之脇海主演、越川道夫監督、俳優二人のPV風
越川道夫監督ということでDVDを借りてみました。
この内容で122分?!という驚きの映画です。
プロモーションフィルムのよう
もちろん122分のプロモーションフィルムというのも考えにくいですので、あくまでも発想がということです。
主演の井之脇海さんと三浦透子さん、どちらもユマニテの所属ですし、この映画の製作も株式会社ユマニテです。プロデューサーもユマニテ代表者の畠中鈴子さんとなっています。ユマニテがスローラーナーの越川道夫監督に二人のPVを依頼したということじゃないかと思います。もちろん勝手な推測です。
映画は122分まったく進展しません。いくらなんでも10分とは言いませんが、30分の内容の映画です。
物語は、父親を亡くし天涯孤独となったタイチ(井之脇海)が、施設から逃げ出してきた知的能力障害のある月子(三浦透子)と出会い、家まで送り届けようとする話です。
タイチがコミュニケーションのとれない月子に何々しろよ!(あくまでも優しく)とか聞いてんのか?とか言いながら、月子が時々もらす断片的な情報を頼りに次に進むというシーンばかりです。延々その繰り返しです。
月子が変化していかないというのはそういう役なんですからいいとして、タイチには月子とは一般的なコミュニケーション方法では意思の疎通が図れないことはすぐに分かるわけですからそうした変化していくシーンを作ってやらないと俳優だって可愛そうでしょう。
むしろ映画は逆のことをやっています。月子がしだいにタイチに心を寄せていくことでタイチも変わっていきます。いやあ、やっぱりあまり変わっていませんでしたね。
とにかく、俳優が可愛そうな映画です。
ロードムービーという言葉も使われていますが、まるで移動感はありません。やっていることが同じですので場所が変わろうが意味がありません。その場所ごとの人との交流やその土地への気持ちの動きもありません。
やはり30分程度のプロモーションフィルムのつもりが、理由はわかりませんが122分になっちゃった(しちゃった)んじゃないかと思います。
三浦透子さんと井之脇海さん
越川さんのブログにこの月子のシナリオを公開するとありますので読んでみようと思ったのですがありませんね。
ただ、さほど細かくは書かれていないのではないかと想像します。多分ツーショットシーンは俳優にお任せでしょう。
三浦透子さんは難しい役をよくやっていると思います。シナリオになんて書かれているかわかりませんが、公式サイトをみても「知的障害」としかありませんのでおそらくシナリオもそうなんでしょう。それで役作りしろと言われても困りますわね。
何作か映画も見ており、「ロマンスドール」「静かな雨」「アイヌモシㇼ」とか読み直してみたんですが、すみません、記憶にありません。
井之脇海さんはほぼ初めてです。「あゝ、荒野」に名前が出ていますが主要なキャストではなかったようです。
ふたりともいい作品に巡り合うといいのですが…。
ネタバレあらすじ
タイチが寝ています。男がガラス戸を叩き、開けろ!と叫んでいます。もぞもぞと起きたタイチが開けますと男二人が三和土に入ってきます。
ガラス戸は鍵がかってあったようでもなくタイチはさっと開けていました。二人は仕事に来ないタイチを起こしに来たんですから、普通は開けようとするでしょう(笑)。
二人はオヤジ(雇い主)が怒ってるぞとかクビだぞとか言いながらズカズカと上がってきます。そして、奥の部屋で死んでいるタイチの父親を見つけます。タイチは、帰ってきたら首をつって死んでいたと言っています。
タイチと雇い主が警察から出てきます。雇い主はタイチの父親と同級生だから面倒を見てやったのにと怒っています。タイチに数万円渡してもう来なくていいと去っていきます。
タイチが橋の上で骨壷を今にも投げ落そうとしています。月子が川を覗き込んでいます。あぶないよと話しかけていますと施設の職員がやってきて嫌がる月子を連れて行ってしまいます。
タイチは家(借家ってことかも?)を引き払い放浪の旅(かな?)に出ます。再び月子に出会います。
この後はふたりの道行きが最後まで続きます。途中、タイチが月子の背中の傷に気づいたり、再び施設に連れ戻されそうになった月子を連れて逃げたり、渋谷の街中で意志の通じない月子を連れ回したりと続きます。
街中の撮影はゲリラ撮影と思われます。スクランブル交差点の撮影など大変だったろうと思います。
そして、タイチは月子の持ち物から住所を知り、そこを目指します。ラブホテルに入ります。月子がタイチの手を取って自分の胸に持っていきます。タイチは振り払いながら、そういうことをさせられてきたんだなあとつぶやきます。
背中の傷といい、こうしたシーンといい、本来神経質にならざるを得ないことをかなり安易に入れています。
というようなことがあり目的地に到着します。双葉郡富岡町らしいです。それに映画ではよくわかりませんでしたが、公式サイトによれば奥多摩から渋谷、茨城、福島県いわき市と移動しているとのことです。
ということであれば、月子の家は津波でなくなっているということです。震災や津波で物語のかたをつけようというのもかなり安易です。
海を見て月子が走っていきます。海に入った月子が「タイチ! タイチ!」と呼びかけています。
そのまま海に入っていってしまうのかと思いましたら、その後、黒味が入って、ふたりが街中(渋谷?)を手をつないで歩いていく後ろ姿で終わっていました。
ラストシーンもやはりPV風でした。