死者の死後の世界は生者の記憶の中にあると Death は言う…
監督はクロアチア出身でロンドンを拠点に活動しているダイナ・O・プスィッチ(ダイナ・オニウナス=プシッチ)さん、この「終わりの鳥(Tuesday)」が長編デビュー作です。1985年生まれですので40歳くらいの方です。

短編のプロットを長編に伸ばしたかのよう…
かなりシンプルなつくりの映画です。主要な登場人物(鳥を含む…)は3人、不治の病で死期も近い15歳の少女チューズデー、母親のゾラ、そしてコンゴウインコのデス(Death)です。デスは CG だと思います。他に介護師が2、3シーンで登場しますが映画の本筋には絡んできません。
プロットも単純です。デスはその名のとおり死神です。ただ、この死神は悪いやつではなさそうで、死の間際に苦しんでいる人を静かに死なせてあげる死神のようです。冒頭にそうしたシーンが数カットあります。
そのデスがチューズデーのもとにやってきます。それを知ったゾラはデスの行為を阻止しようとします。しかし最後にはチューズデーの死を受け入れます。後日、悲しみに暮れるゾラのもとにやってきたデスは、ゾラに死後の世界とはゾラの中に残ったチューズデーの記憶のことだと告げます。ゾラは自らに「Get up, woman」と声を掛け立ち上がります。
映画のつくりは率直なところあまりうまくありません。編集もぎこちないですし、同じようなシーンがとても多く、流れもよくありません。プロット的には短編のほうがギュッとしまっていいのではないかと思います。ということからも短編を2時間に伸ばしたような印象です。
ダイナ・O・プスィッチ監督自身のサイトがあり、過去の短編を見られます。
「Rhonna & Donna」と「The Beast (Zvjerka)」の2本見てみましたが、どちらかといいますと舞台劇のようなつくりでコメディっぽい演出が多いです。
コメディの趣きもあるが…
そうした見方で見ればこの「終わりの鳥」もコメディっぽいところがありますし、舞台劇にすれば面白くなりそうです。
15歳の少女チューズデー(ローラ・ペティクルー)は不治の病で日々ベッドでの生活、移動も車椅子です。ただ、死期も近いという設定なんですが映画的はそうは見えません。自ら動けないことを除けば見た目健康体ですし、末期感がまったくありません。苦しみや絶望感もまったく感じられません。
要はこの映画はシリアスドラマではないということです。チューズデーは余命幾ばくもないのだと思って見なくっちゃいけないということです。
そう思って見ることができるのであればそれなりに面白さもあるかとは思いますが、そうでなければ、現実感のない観念的な映画に見えるんだろうと思います。私は後者です。
とにかく、チューズデーのもとにデス(声、アリンゼ・ケニ)が舞い降ります。チューズデーはデスがどういう存在かを知っている風です。だからなんでしょう、ジョーク(よくわからなかった…)でデスを笑わせようとします。功を奏してチューズデーとデスは親しくなり、チューズデーはデスを耳の中に入れます。デスは自らの大きさ可変、大きくも小さくもなれます。
母親ゾラ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)が戻ってきます。ゾラは毎日チューズデーの面倒を介護士に頼んで仕事に出ていきます。ただ、それはチューズデーに心配をかけないようにしている(だと思う…)からであり、実際は公園で時間を潰しているのです。生活費やチューズデーの介護費用は家具や持ち物を売ってお金に変えているのです。ぬいぐるみセットを売り払うシーンや2階にあった家具や装飾品が一切なくなっているシーンがあります。
ゾラはデスの存在に気づき、チューズデーから遠ざけようとします。捕まえるのも難しく、庭に追い出して、小さくなっている時に分厚い本で幾度も殴りつけ、火をつけて燃やし、そして焼けたデスを食べてしまいます。音を立てて噛んでいましたのでどうなるのかと思いましたが、デスはゾラの体の中で生きていました(笑)。
しかし、シリアスに終えている…
すでに書いていますが、デスは死にきれず苦しんでいる人を静かに死なせてあげる死神です。そのデスをゾラが飲み込んでしまいましたので世の中には死にきれずにゾンビ状態の人々が溢れています。やむを得ず、ゾラはデスを背中に担ぎ、死神となって世界を回ります(ということだと思う…)。
そして海辺です。このシーンはよくわかりません。チューズデーの見た目のシーン、遠くの海辺でゾラとデスが向かい合い、なにかやり取りをしているのですが映画的説明はなくよくわかりません。
そして、ゾラとチューズデーは家に戻ります。このあたりも寓話的描写ですのでよくわかりませんが、いずれにしてもゾラがチューズデーの死を受け入れ、自ら(だったと思う…)死神としてチューズデーを死後の世界に送ります。
そして後日、すでに書いたように意気消沈しているゾラのもとにデスがやってきます。デスは神は存在しないと言い、また死後の世界とはゾラの中のチューズデーの記憶であり、またチューズデーはその記憶の中に生きていると語ります(ちょっとつくった…)。
ゾラは “Get up, woman” と自らを奮い立たせます。
という映画でした。
偉そうな言い方になりますが、長編を撮るのであればシナリオに他者を入れて共同にしたほうがいいと思います。