- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2008/10/24
- メディア: DVD
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監督が音楽家と聞いて納得の、実に音楽的な、単に音楽が有効に使われているというだけではない、間を大切にした、映画に一貫したリズムのある調和のとれた作品です。じわっとした緊張感が全編に漂い、行き過ぎたところのない、人によっては物足りなくも感じるかもしれない、そんな映画です。
一見無意味とも思えるカットやシーンもそれをなくしたらきっとリズムが生まれてこないでしょう。85分という時間は短いほうだと思いますが、かなり神経を使って不必要だと思えるものをそぎ落としていったように感じます。
主演のアリアーヌ役カトリーヌ・フロは実力派女優と言われていますが、抑制された演技でとてもいいです。コメディを得意としているとのことですが、こういう役もいいですね。
メラニー役のデボラ・フランソワは、評価は分かれるかもしれませんが、神経質そうなタイプをこの役に持ってこなかったのは、うまくバランスがとれて、私は良かったように思います。時々見せるとてもいやな顔、不細工とも言える顔がいいです。このキャスティングは、単に復習劇とすまされずにすんでいるひとつの理由ですね。
と、結構いい映画なんですが、音楽家ゆえなのか、構成されすぎている感じがします。構成は、起承転結そのものですし、特に、プロローグ的なそもそもの発端となるメラニーの少女時代は、かなり説明的です。父親の仕事である肉屋のシーンも、うまく生かされていなく、結果的に浮いた感じのものになっています。
そして、ラストシーン。どうしても完結させたかったのでしょうか、音楽はエンディングに入り、盛り上がり、メラニーは笑みを浮かべながら去っていきます。
私は、心の中で叫びました。「それだけはやめて!台無しじゃん!」