- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/04/28
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う〜ん、私には何ともあざとい映画にみえる。計算が過ぎている。「実験的」といった評価もあるようだが、私には空回りにみえる。
なぜそう感じるかは、たとえば、カメラワーク。
あるシーンでは、カメラは街角に固定されている。人々が行き交う。やがて主人公の男がホテルから出てくる。彼は、地図を片手に石畳を歩き、角を曲がり、フレームアウトしてしまう。カメラは、そのままじっと街角を撮り続ける。
退屈ではあっても、それはそれでいいとしよう。だが、次のシーンでは、男がカフェでシルビアを探すともなく、周りの女たちをデッサンしている、その様子を、男のバストショット、女たちのアップ、風に揺れる髪のスロー、カフェのガラス越しの女、ガラスに写る女などなど、様々なカットの切り返しで組み立てている。
さらに、シルビアらしき女を尾行するシーンでは、男目線のハンディ(かな?)っぽい揺れるカット、女越しに男が入るように前からのカット、そして固定カメラの街角のカットなどが、かなり無節操に切り替わっていく。
一体何を撮りたいのだ? ストーカー目線で女の後をつけるやや怪しい雰囲気で貫けばいいのではないか?
音楽ではなく、「音」で何かをしようとしている。石畳の足音、話し声、他に何があっただろう? いわゆる街角のノイズで何かをしようとしているのだが、私には分からない。意図的に入れられていることが気になって仕方がない。
固定カメラの街角のシーンでは、様々な人が行き交うのだが、その間合いが意図的でいやらしく感じられる。
何ともひどい感想になってしまった。