ガールズムービーなのだが、懐かしさが漂い、数十年の時間を溯る
ん…、結局、「ポルノチック」三作のうち、これが一番ガールズムービーといえるような気がします。とにかくイライラします(笑)。
15分経っても、まるで先が見えません。二つの話が同時進行しているようですが、いずれ結びつくだろうと分かっていても、さすがに、15分、20分と経つと、いい加減にせい!とも言いたくなるでしょう(笑)。
まあ、当然なんですが、結局、女(柳英里紗)と男(渋川清彦)は、偶然、いや偶然を装った完全なる虚構なんですが、と、こんなところを突っ込んでも意味はないのですが、要は、偶然を装って出会うだろうということは予想できるということです。むしろ、出会わないで愛の物語を進展させてくれれば相当評価は高くなるんですが…。無茶苦茶なこと言ってます?
で、ふたりの愛の物語、じゃなくて、寂しくなると人肌が恋しくなるという話が進展していきます。女は、親の離婚後も父親への思いを断ち切れず、今母親の再婚話で居場所を失っているようです。男は、半年前に別れた恋人を忘れられず、ストーカー行為に及んでいます。また、男は睡眠障害を持ち、日に数度気を失ったように眠ってしまうようです。
偶然出会った二人は、男の元恋人をストーキングする過程で、いや過程ではお互い心の揺れはなく、結局、そのまま夜が明けて、ふっと世界が変わった感じに見える中で二人は肉体的に結ばれるという感じですね。そして、映画的には、女は成長した?ってことでしょうか。たしか、どこか吹っ切れたような表情で朝を迎える女のシーンで終わっていました。
で、この物語って、どこか70年代の小劇場演劇的な匂いがしますね。登場人物に現実感が乏しく、どこか病んでいる人々が出会いの中で癒され、新たな世界へ旅立つみたいな、そういった感じで、懐かしい感じがしたのはその所為かもしれません。都会を浮遊する人物設定も、よりそういった感じを抱かせます。テーマ曲に別役実の「まるで世界」を使っていることも余計にそういった印象を強くさせています。
「ポルノチック」の三作、その企画だからということもあるでしょうが、全てセックスシーンがあります。その点では、この「惑星のかけら」が一番色っぽく(エロく)、音も意図的にエロさを強調し、うまく撮れていたように思います。「夕闇ダリア」と「フォーゴットン・ドリームス」には、撮る方も演じる方も照れが見えましたが、この「惑星のかけら」にはそれがなかったです。
ただ、三作全てに思うことは、全てカメラが男目線ですね。女目線のセックスシーンがあってもいいように思いますが、どうなんでしょう?
それと、「ポルノチック」というタイトルの所為?上映時間が20時からの所為? 三作とも観客のほとんどが男性、女性は一人二人と数えるほど、これって、企画として成功なのかな?