これは映画ではなく、抽象画の絵画展、あるいは写真展を見てまわる感じです。
事前情報を全く入れずに見に行きましたら、全くわからない映画でした。
幾度も落ちそうになったのですが、いつかきっと引き込まれるところが来るに違いないと頑張って何とか最後までたどり着いたものの、結局、全くわからない、と言いますか、感じるところがなく終わってしまいました。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2015でロバート&フランシス・フラハティ賞受賞、2014年のロカルノ国際映画祭では最優秀監督賞受賞と絶賛されペドロ・コスタ監督最新作。主人公ヴェントゥーラのカーボ・ヴェルデからの移民の体験をもとに、カーネーション革命やアフリカ諸国の植民地支配からの独立などの近代史を背景に、アフリカからの移民の苦難の歴史と記憶を、ひとりの男の人生の終焉とともに虚実入り混じった斬新な手法で描いている。(公式サイト)
事前情報ゼロとはいえ、上映館の解説にあった「リスボン」「 旧植民地領カーボ・ヴェルデ」「クレオール」などの言葉は頭にありますし、「カーネーション革命」についても多少の知識はありますので、映画の背景は多少は理解できてはいたんですが、結局、言葉(字幕)をうまく整理することができず、映像だけ見ていたような結果です。
すべてのカットがフィックスだったと思いますが、そのうえに、光と影を強調した意図的に作られたカットが延々と続きます。
そうした映像自体はきらいではありませんが、全編そればかりですとさすがに(私は)飽きます。それに刺々しさを感じます。
広角のレンズで撮っているんだと思いますが、奥行きを強調した画も好んで使われていました。
クライマックスと言っていいかどうか分かりませんが、エレベータ(でいいかな?)の中で、ヴェントゥーラが黒塗り(何を塗っていたのでしょう?)の兵士と(内的な)対話する場面は、すごい圧力が感じられ、息苦しさを感じました。途中退場しようかと思ったくらいです。その点では成功しているのでしょう。
でも、退場させてしまったら元の子もなく、意味もないと思うのですが…(笑)。
この映画は、準備して、覚悟して、構えて行って、初めて理解できる映画なのでしょう。