そんなには褒めないよ。映画評

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お嬢さん

(ネタバレ)ロケ地は桑名の六華苑か?

2017/03/14

タイトルや宣伝イメージ(下の画像)を見ても好奇心をそそられることもなくスルーしていたのですが、ふと監督名に目がいき、あららパク・チャヌク監督なら見ておかなくちゃということで見てきました。

この監督、結構見ているように思うのですが、「オールド・ボーイ」しか思い出せなく、ウィキを見てみましたら、ああそうだそうだ、「親切なクムジャさん」「渇き」「イノセント・ガーデン」、それにDVDだと思いますが、復讐三部作ということで「復讐者に憐れみを」まで見ているではないですか…(笑涙)。

なぜか「オールド・ボーイ」以外は印象が薄いです。

監督:パク・チャヌク

舞台は1939年の朝鮮半島。豪邸から一歩も出ずに暮らす令嬢・秀子のもとへ新しいメイドのスッキがやってくる。スッキは秀子の莫大な財産を狙う詐欺師の手先だった。詐欺師はスッキの力を借りて秀子を誘惑し、財産を奪う計画だ。スッキは美しく純真で孤独な秀子に惹かれていく。そして秀子も献身的なスッキに心を開いていく・・・。(公式サイト)

まったく何の事前情報も入れずに見た感想としては、日本の春画に触発されて撮ったオリジナルストーリーかと思っていたのですが、原作があるんですね。

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原作は、19世紀ヴィクトリア朝のロンドンが舞台のミステリーで、作者のサラ・ウォーターズさん、ウィキペディアによれば、 

サラ・ウォーターズ(Sarah Waters, 1966年- )は、ウェールズのペンブロークシャー生まれの小説家。レズビアンのミステリー作家で、作品にも同性愛の描写が多く見られる。

とのことです。書評などに目を通してみますと面白そうですね。

で、映画ですが、ミステリー度もさほど高くなく、同性愛に焦点が置かれているかといいますとそうでもなく、これまた印象薄く終わりそうです。

ミステリー度で言いますと、まず初っ端、「第一部」と出て、詐欺師(ハ・ジョンウ)とスッキ(キム・テリ)が、秀子お嬢さま(キム・ミニ)を騙して財産を奪おうとするわけですが、第一部の最後に、実は詐欺師とお嬢さまが組んでいたと明かされ第二部に入ります。

そして、第二部は第一部と同じ時間軸が詐欺師とお嬢さまの騙す側視点で描かれるわけですから、もうそこらあたりで先が読めてしまいます。

普通、第一部、第二部ときて、第三部がないなんてことはありませんから、当然、第三部は、実はお嬢さまとスッキが組んでいたとなるわけで、そうしたミステリーさという点ではほぼ中盤で種が明かされているも同然となっています。

じゃ何で引っ張っていこうとしているかといいますと、何でしょう? エロさですかね…。

もちろん、それで引っ張られるかどうかは人によりますが、スッキとお嬢さまの絡みの描写がかなりエロチックではあります。

スッキはお嬢さまの面倒をみるうちに、お嬢さまに惹かれ始め、そしてまたお嬢さまもスッキを求めるようになります。同性愛ということになるんですが、ただ、映画が同性愛を正面から描こうとしているかはかなり疑問で、女性同士の裸の絡み合いを撮っているにすぎないような気がします。

エロさという意味では、倒錯的な設定もそのひとつと言えるかもしれません。

お嬢さまは幼い頃から叔父に監禁されるかのように育てられています。叔父は、官能小説や春画を収集しており、お嬢さまにそれらを朗読させるという、ある種の倒錯趣味の持ち主です。

第一部では、お嬢さまはあたかも何も知らない初心で純真な女であるかのように振る舞っていましたが、第二部では、秘かに集められた男たちの前で官能小説を朗読させられたり、何やら怪しげなことをさせられたりします。

ただ、こうした倒錯的なあれこれがあまり生きているようには思えません。

そもそもお嬢さまがそうしたことをどう思っているのかがよく見えません。まあ、だから「お嬢さま」ということもいえますが、映画的には深みに欠ける原因かと思います。

結局物語としては、スッキとお嬢さまはまんまとお金を持ってウラジオストクへ逃げおおせるわけですが、その後に詐欺師と叔父のシーンがあり、まあこのあたりかなり飽きてきていますので(笑)はっきり記憶していませんが、詐欺師が指を切断されたり、北斎の「蛸と海女」の春画がどうこうだったりとオマケのようなシーンがありましたが、あれなんだったんでしょう? 何か見逃していますかね?

映像はパク・チャヌク監督らしいある種の様式美で撮られており、美しいと言えば美しいのですが、あまり新鮮さはありません。

スッキのキム・テリさん、オーディションで選ばれた新人さんらしく、お嬢さんとの絡みのシーンはよくあそこまでやったと思いますし、将来性はあるように思いました。

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ロケ地のひとつが桑名の六華苑ですね。

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