女神の見えざる手

は、読まずに見たほうがいいとは思いますが…

これ、作りもテーマも無茶苦茶ハリウッド臭いんですけど、そうじゃなく、ヨーロッパ・コープの製作なんですね。

と言いながら、私、最近は何か語れるほどハリウッド映画を見ていません(笑)。それに、今ではハリウッド臭いといえる特徴的なものもなくなっているのかもしれません。

監督は「恋に落ちたシェークスピア」「プルーフ・オブ・マイ・ライフ 」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のジョン・マッデン監督です。

そのどの映画もあまりはっきり記憶しているわけではありませんが、こういう映画を撮る監督でしたっけ?

監督:ジョン・マッデン

こういう映画を撮る監督でしたっけ? と感じたことがハリウッド臭さと書いた正確な意味なんですが、その一番はテーマと言いますか、そのオチです。

この映画のテーマ、一言で言っちゃいますと、「アメリカの正義」です。

「ロビイスト」という、日本ではあまりよく分からない存在を描いている映画なんですが、アメリカでは法律で認められた存在らしく、また行き過ぎないようにその規制法もあるようです。

で、この映画でロビイストたちが対象としている政治課題は、銃規制法の成立です。

主役の「Miss Sloane」、これが原題で、Ms. ではなく、Miss となっているのも何か意図があるのかも知れませんが、それはともかく、ミス・スローンは、ロビイスト会社(そういうものがあるかどうかは分からないが)の有能な社員で、銃規制反対の有力者から、女性団体を味方につけたいと依頼されますが、あっさりそれを断り、銃規制賛成のロビイスト会社の引き抜きに応じ、スタッフ(の半数)を引き連れ転職します。

その後は単純で、ミス・スローンのチームと元会社チームのロビー合戦が繰り広げられるだけです。

ただ、基本ストーリーは単純でも、細かい物語、形勢が有利になったり不利になったりする展開は、正直なところ、1回見ただけでは理解し切れないでしょうし、まあ分かっても分からなくても、この映画、そこは大したことではありません。

この映画で重要なことはラストだけです。

最後、絶体絶命のミス・スローンが、自らのキャリアも、もっと言えば人生をかけた罠を仕掛けて、ロビー活動そのものの是非に一石を投じていることです。

それが、良くも悪くも「アメリカの正義」ということなんですが、ただ、この映画、ロビー活動についてのそのオチの後にもうひとつ、何やらはっきりしない裏テーマのようなものが提示されているのです。

ミス・スローンが仕掛けた罠とは、自らがロビー活動を規制する法律を犯し、それを相手(敵)に暴かせるよう仕向けることで、逆に敵に不正を犯させ、それをあからさまにすることだったのです。

裁判のシーンはありませんでしたが、当然ミス・スローンは有罪となり、(確か)5年服役します。

で、これ重要なんですが、服役して何ヶ月後かに、弁護士が面会にやってきて、理由は記憶していませんが、何ヶ月後かに出所させることが出来ると伝えますが、ミス・スローンはそれを拒否します。

そして(おそらく)5年後、ミス・スローンが出所し、やや遠くを見つめるカットで映画は終わります。

このエンディングで何を意図したのかは分かりませんが、この映画、単純にハリウッド的「アメリカの正義」だけの映画じゃないよと言っているのかもしれません。

恋におちたシェイクスピア(字幕版)

 
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