ダリダ あまい囁き

男性との関係を軸にした伝記映画としかいいようがない。

ダリダ? ダリダ? ダリダって、だりだ?

って、ことはありません(笑)。ちゃんと知っています。ただ、代表曲は何? ヒット曲は? と考えてもすぐには浮かんできません。

そんな人にはとてもいい映画です。

音楽がいっぱい使われていますし、ああそういう曲だったのかと、シーンに合わせてうまい具合に音楽が使われています。

監督はリサ・アズエロスさん。といっても何も浮かんできませんでしたが、「太陽がいっぱい」のマルジュをやっていたマリー・ラフォレさんの娘だそうです。 

監督:リサ・アズエロス

公式サイト

こういう人生を歩んだ人だったのねとわかりやすい映画です。人物像に深くせまるというよりも、主だったエピソードでダリダの人生をたどるといった感じで、公式サイトの 「ABOUT THE DALIDA」 がそのまま映画になっていると考えればいいでしょう。

ただ、びっくりしたのは関係のあった三人の男性が自殺していることで、それに本人も34歳の時に自殺未遂、そして54歳の時に自殺で人生を終えているわけですから、そのことだけみれば、死に取り憑かれた人生なんて言葉も浮かんできますが、映画はそうしたところにはこだわっていないようで、比較的軽くて明るいです。

映画は34歳の時の自殺未遂から始まります。

当時つきあっていたイタリア人歌手のルイジ・テンコがひと月前に拳銃自殺しており、それを追っての自殺のようにみえますが、映画は何も語っていませんので本当のところよくわかりません。

とにかく、この映画は伝記映画という言葉がぴったりなんでしょうが、起きたことは描いていますが、それがなぜ起きたかについてはほとんど関わろうとしていません。

ルイジの自殺については、ハイデガーを引用して「人間は死に向かって生きている」などとベッドの中で語らせたりしてルイジをニヒリスティックな人物にしていましたが、ダリダの自殺未遂はただ悲観してといった曖昧な感じでした。

その自殺未遂の後に、弟のブルーノなど何人かが誰かに(あれ、誰だ?)ダリダの過去を語る形でエジプトでの幼い頃のことや、23歳のときにコンテストでルシアンと出会い成功への道を駆け上ることが描かれていきます。

ダリダの両親はイタリア人ですが、公式サイトにイタリア移民とあるようにエジプトで生まれ育っており、19歳でミス・エジプトに選ばれ、映画にも出ているようで、その後22歳のときにパリに渡り、キャバレーで歌っていたとあります。

この映画は、ダリダの男性遍歴(あまりいい言葉じゃないね)を音楽とともに描いていく映画ですので、相手の男性のことを中心に書いていきますと、まず、コンテストでその才能を見抜き、その後、ダリダ28歳のときに結婚することになるルシアン、映画でもはっきりしませんでしたが、プロデューサーのような立場なんでしょうか、仕事もプライベートもともに親密な関係にあり、そのことに飽き足りないダリダが、私の望みは普通に結婚し、普通に子供を持つことだとルシアンに結婚を迫っていました。

で、結婚するのですが、その後すぐにポーランド人の画家ジャン・ソビエスキーと浮気(恋に落ちる?)ということになったようです。ルシアンとの離婚の時期ははっきりわかりません。

次の登場する男性がルイジ・テンコということになり、映画は特に違和感なく流れていたのですが、ジャン・ソビエスキーとはどうなったのか、ルイジとはいつどのように出会ったのかなど、全く記憶にありません(ペコリ)。言い訳をすれば、記憶できるように作られていないということです(笑)。

で、ルイジが自殺し、自殺未遂があり、映画の時間軸でいえば、ここから未来ということになるのですが、映画のつくりがうまいのか、下手なのか、いつの間にやら現在と過去と未来がひとつに繋がっているという、何もこれなら最初から時間軸に沿って描けばいいんじゃないのと、ふとそんな気がします。

自殺未遂のその年の暮、12歳年下のイタリア人青年ルチオと出会い、ダリダは妊娠しますがルチオには伝えずに中絶しているようです。このルチオをうたった歌が「18歳の彼」です。

日本語バージョンがあるんですね、ビックリ。


Dalida – Il venait d’avoir 18 ans (japonais)

そして37歳の年、ルシアンが自殺します。映画的にもあまりに唐突で、拳銃を口にくわえるシーンがあるのですが、え? 今の誰? 的に意味不明です。

そして、39歳の時、映画としては最後の男性になるサンジェルマン伯爵と出会います。公式サイトには「サンジェルマン伯爵の生まれ変わりで錬金術と名乗るリシャール・シャンフレー」とあり、映画もそのままで、一体この人誰? という感じで登場します。錬金術師? なんのこっちゃ? みたいなことなんですが、不思議と違和感なく映画は流れていきます。

その意味ではすごい映画かもしれません(笑)。

このリシャールとは比較的長く続いたんでしょうか、48歳のときに別れ、その2年後、ダリダ50歳のときにリシャールは自殺しています。映画ではその経緯も描かれていなかったように思います。

1987年 | 54歳 | 最後の別れ
1987年5月3日、枕元に「人生に耐えられない。許して。」と遺書を残し、自宅の寝室で睡眠薬を服用し自殺。享年54歳。
(公式サイト) 

ということです。

あえて何かを書く必要もなかった映画です。公式サイトの文字がそのまま映画になっています。逆ですね、伝記映画ですので、映像をそのまま言葉にしたものが公式サイトになっている映画でした。

これはこれでいいのかな? どうなんでしょう?

ダリダ・ベスト・ヒッツ

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