視点を SNS 側に持っていけばよかったのではないかと思うけど…
タイトルにそそられて見た映画です。原作が奥田英朗さんの小説とのことですが、名前を知っている程度で読んだことはありません。
「ふたりの青春、あと3日ー」
こういうヒリヒリしそうな青春ものが好きなもんですから、いくらヤクザの鉄砲玉が題材とはいえ、今どきの何かあるだろうと思ったのですが、残念…。
現実のヤクザな世界がどうなっているのかなんて知る由もなく、今でもこういった鉄砲玉のようなことがあるのかどうかもわかりませんのでどうこういうのも憚れますが、映画等で知る限りにおいて、ヤクザの描き方、兄貴分弟分の描き方、チンピラの描き方、男に対する女のポジションなどなど、新しいと感じることは何もありません。
鉄砲玉となる純平(野村周平)はどんなに理不尽でも律儀に筋を通そうとしますし、男に惚れた加奈(柳ゆり菜)は、 どんなに今どきの女の子であっても、結局、男を待つ女でしかありません。
ただ、そうした時代錯誤的な行動に対して、加奈が SNS 、あれは2ちゃんのような掲示板的なものでしたが、逐一発信しますので、それに対して様々な人間が反応することで、イマドキ感が出されています。
学校で虐めにあっている女子高生、官僚を目指しながら夜の商売のバイトに明け暮れる(でいいのかな?)大学生?などなど、数人いたと思いますが、スクリーン上を文字で流れていきますので、あまり記憶できていません。
とにかくまあ、どんな SNS かに関係なくパターン通りのレスがつきます。心配するもの、同情するもの、突き放すもの、茶化すもの、そんな感じです。
純平と加奈の関係は、さすがに悲壮感などなくあっさりしたもので、このあたりは好感が持てます。
で、純平が、決行したかどうかはあまりはっきり描かれていません。拳銃を発射するカットはありますが、その後どうなったかはわかりません。
加奈は、二人の思い出の神社(というほどでもないが)で純平を待っている時に純平が戻ってくる妄想を見ますので、映画的には、返り討ちにあって死んだか、血みどろでどこかに逃げ込んでいるか、あるいは、これが一番今どきかと思いますが、逃げたか、いずれにしても、原作がどうなっているかにかかわらず、続編が作れそうな終わり方でした。
見ていてつまらなくはありませんが、新鮮さのない映画でした。