アイドルオタクの真髄を見たかったのに…
松坂桃李主演、今泉力哉監督の青春物語とありましたので見てみるかと、ただハロプロというものも知りませんでしたので(笑)ちょっとだけ調べて、ああ、モー娘。ねなどと軽い気持ちで見に行きましたら…こんな話だったのね。
アイドルオタクの話でした。
あまり弾けないのね
アイドルオタクの心情自体はよくわかりませんが、同じ趣味や目的を持ったものが集まったときの空気みたいなものはイメージできます。それからしますとこの映画の登場人物たちはなにか吹っ切れていない感じがします。
オタクって基本的には個的なものだからあんな感じなのかなあとも思いますが、なにかこの映画にはスカッとするものがないです。最初から最後まで切ない(痛い)感じが漂っています。
「ハロプロあべの支部」のライブイベントが多すぎますし、皆で集まるシーンばかりで個々のシーンが全くありません。
ですのでメリハリがなく、結局目立つのは松坂桃李さんではなく派手な演技をしている(求められている)仲野太賀さん演じるコズミンということになっています。
ネタバレあらすじとちょいツッコミ
劔樹人(松坂桃李)はバンドのベース担当です。スタジオでの練習中にリーダーから何回同じところで間違えるんだよ!と怒鳴られています。
ある日、玄関先に友人からこれでも見て元気出せやとメモの入ったDVDが置かれています。再生してみますと、「♡桃色片想い♡」を歌う松浦亜弥のDVDです。劔は次第にその姿に魅せられていきます。
アイドルに魅せられる(違うのかな?)という感覚がわかりませんので間違っているのかもしれませんが、この後劔は急いでCDを買いに行くわけですが、このDVDを見るシーンでそれだけのインパクトを受けた感じはしません。
演出なんでしょうか、確かに松坂桃李さんの劔は全体通してあまり楽しそうじゃないです。それなのに台詞では常に今が一番楽しいというわけですからその切なさ(痛さ)が全編を覆ってしまっているということです。
CDショップです。ハロプロ特集のCDコーナーを見ていますと店長ナカウチがよかったらこれと言って「ハロプロあべの支部」のイベントチラシをくれます。
イベント当日、ライブハウス「白鯨」です。ステージではメンバーがしゃべくり漫才のようなコントのようなライブイベントをやっています。メンバーは、
プライドが高くてひねくれ者のコズミン(仲野太賀)、石川梨華推しでリーダー格のロビ(山中崇)、痛車や自分でヲタグッズを制作する西野(若葉竜也)、ハロプロ全般を推しているイトウ(コカドケンタロウ)、そして、CDショップ店員で劔に声を掛けてくれたナカウチ(芹澤興人)
(公式サイト)
です。
終了後、ナカウチにお礼を言いにいきますと打ち上げに誘われます。打ち上げは予定の居酒屋が満席のため他を探しますと言う劔に、早々とイトウの部屋になります。
この打ち上げ、酒を飲むわけでもなく何か食べるわけでもなく、イベントと同じノリで進みます。これがよくわからないのですが演出なんでしょう。
とにかく、この映画、このメンバーのこのノリのシーンが最後まで続きます。ですので細かい流れはあまり記憶していません。
メンバーの中で弾けるのは常にコズミン(仲野太賀)です。汚い役回りは全てコズミンが引き受けています。たとえば後に劔が大学の後輩の女性二人をライブに誘うシーンがありますが、コズミンはそのひとりを見て自分の股間に手をやるといった具合です。
劔もメンバーに入りライブイベントに参加するようになります。
握手会のシーンがありました。劔は緊張しまくりでコズミンにカチカチじゃないかと言われています。
劔の大学の後輩から学園祭でイベントをやってほしいと依頼されます。これもライブハウスと同じようなノリです。女子大とか言っていたと思いますが、客は男ばかりでした。それに劔の後輩が女子大ってどういうことでしょう、何か見間違えているかもです。
劔は誰か(モー娘。?)アイドルのコンサートに後輩の女性を誘いますが振られます。しかし隣に初老の男がやってきます。男は◯十年後(忘れた)の劔だと言い、今のままでいいんだと言い残していきます。
幻です。多分、劔の迷いの表現なんでしょう。
新しいメンバー、アール(大下ヒロト)が入ってきます。ギターを弾いていると言います。劔がみんなでバンドをやろうと提案し、バンド名「恋愛研究会」を組みます。ライブイベントには演奏をするようになります。
アールには恋人がいます。皆での帰り道、その女性が停車している車を見つけストーカーされていると言います。(例によって)コズミンがストーカーを挑発し、その後ネット上での誹謗中傷合戦となります。最後はコズミンが相手に土下座で謝罪して終了します。
このストーカー話もネット上の話も中途半端でわかりにくいです。
コズミンがアールの恋人にちょっかいを出します。アールは怒りますが、それもイベントノリで描かれていきます。
後半です。ナカウチが東京のライブハウスを任されたと言って去っていきます。
劔がアヤヤの握手会に当選します。アヤヤをやっているのは「BEYOOOOONDS」の山崎夢羽さんとのことです。ただこのシーンも特に盛り上がってもいません。劔が緊張の面持ちで頑張ってくだいと言って握手してくるだけです。
劔がアイドルの誰か(これもモー娘。?)のコンサートのチケットをネットで落札してコンサートに行きます。相手の出品者は女性の教師です。ステージを見ながら涙を流しています。劔はその姿を見つめています。
劔も東京へ行きナカウチのライブハウスで働き始めます。多分、時が経ちそれぞれがハロプロから離れていったということでしょう。ただ、それもこの二人以外ははっきりしていません。
コズミンが肺がんを患います。劔はそれをネットのつぶやきで知ります。このコズミンのがんもこれまでと同じようにイベントノリで扱われます。これ以後はこのネタ(というのもなんですが)で最後まで進みます。
ライブハウス白鯨だったと思いますが、ライブの準備の最中にコズミンが杖をついてやってくるシーンがありました。全員揃っていたと思いますのでどういう経緯だったんでしょう。
こういうところがお座なりになっていますので映画に集中できません(そういう映画ではない?)。
コズミンの病状がどんどん悪くなっていき病床に横たわるシーンが2、3シーンあったと思います。そして亡くなります。
そしてラストは劔とコズミンの亡霊が出会い、(どんな会話であったか記憶はありませんが)楽しかったなあだったか、今が一番楽しいだったか、そんなことを言いながら映画は終わります。
何をやろうとしたんだろう
アイドルオタク(文化)無関心アンド無知の者の意見として言えば、この映画を見てもアイドルオタクとはなんなのかはわかりませんし、そこにどんな魅力があるかも全く感じれません。
映画としてもメリハリを欠いていますし、内輪受けっぽさが濃厚でどんな客層に何を見せようとしたのかもはっきりしません。
率直に言えば、脚本も、演出も、そしてキャスティングもあまりよくありません。
そう言えば、客はそれほど入っていたわけではありませんが何組か女性複数人で見に来ている人たちがいました。彼女たちも元(今?)ハロプロオタクということなんでしょうか。
モー娘。ファンには女性が多いと聞いたことがあります。