映画としてはよくできているが、バルバラに思い入れがないと難しい
フランスの歌手バルバラを描いた映画なんですが、 これは、バルバラに相当思い入れがあり、なおかつ、バルバラについても相当詳しく知っていませんと見ていても楽しめない映画です。
私も、ほとんど日本人歌手の歌(カバーも含め)でしかその曲を聞いたことがないのではないかと思います。それでも、バルバラと聞けば、その異国感たっぷりの名前と叙情的な歌の記憶(本人のものかどうかは?)で、どんな人だったんだろうと興味を持ったわけです。
ただ、この映画はそうした伝記的な意味での人物像を伝えてくれることはなく、むしろ、ますますその実像を霧(紫煙?)の彼方に追いやってしまうような感じです。
たとえばそれは、日本人が美空ひばりと聞けば、たとえ本人に思い入れなどなくても、聞くともなく聞いた、あるいは見るともなく見た多くの情報により、なんとはなくわかるわけで、おそらくフランスにおけるバルバラとはそうした存在なのではないかと思います。
映画の作りも、映画の中でバルバラの映画が撮られていくという二重構造になっており、実際の映画の監督であるマチュー・アマルリックさんが、映画の中の監督役もやっているという、さらに、その映画の中の映画にも出演しているという、まあ言ってみればわけのわからない(笑)ことになっています。
ただ、映画はうまくできています。楽しめないだけです(ペコリ)。
映画の中の映画でバルバラを演じているジャンヌ・バリバールさん、出演映画の一覧を見ても見たかどうかも記憶にない方ですが、この映画は印象に残ります。バルバラ本人じゃないかと思えてきます。ですので、おそらくフランスでの評価は高いでしょう。
プライベートでは、マチュー・アマルリックさんとの間に二人の子どもがいるパートナーだったらしく、何のソースもない想像ですが、マチュー・アマルリックさんの個人的なバルバラへの思い入れと、監督としてジャンヌ・バリバールさんを撮りたいといった思いがうまく合致して出来上がった映画ではないかと思います。
マチュー・アマルリック監督の映画は「さすらいの女神たち」を見ていますが、この映画と合わせて考えれば、どんな映画を撮りたいと思っているのかなんとなく分かります。それにうまいです。ただ、題材が一般的日本人受けするものではないのが残念です。
ところで、公式サイトの文章、ウィキペディアから取ってるんじゃないの?と言いたくなるような内容ですね。あるい逆? ウィキペディアの更新が 2018年7月10日になっていますから、宣伝のために書いたとか?