夢見るのは我々日本人で、ゲンボとタシ、そしてブータンには将来の選択
ブータンの一家族の、明記されていませんが数ヶ月くらいの出来事を見つめるドキュメンタリーです。ブータンと言えば、2011年に来日された国王夫妻がとても好印象だったことや国民総幸福量という価値観を国の政策としていることが思い浮かびます。
監督は、ブータン人のアルム・バッタライさんとハンガリー(人?)のドロッチャ・ズルボーさんのお二人、「ドック・ノマッド」という若手ドキュメンタリー制作者育成プログラムで出会って、共同制作したということらしいです。
これですね。
第七藝術劇場のツイッターに動画がありました。
【スペシャルコメント】『#ゲンボとタシの夢見るブータン』アルム・バッタライ監督とドロッチャ・ズルボー監督より、関西そして日本の皆様にメッセージを頂きました!関西は大阪8/25(土)~第七藝術劇場、京都9/1(土)~出町座、神戸は順次 元町映画館にて公開予定です!#ブータン #ナナゲイ動画 pic.twitter.com/yky2PyG6jF
— 第七藝術劇場 (@7_gei) July 15, 2018
日本ですと「幸せの国ブータン」というイメージが強いことを利用してのことなのか、原題の「The Next Guardian」が「ゲンボとタシの夢見るブータン」になっていますし、画像イメージも全く違いますね。
結局、撮りたかったことは、ゲンボとタシという兄妹を通して、ブータンの将来への希望と危惧の両面なんだろうと思います。
タシを妹と書いていますが、本人の性自認は男です。上の画像の左側の子で15歳です。サッカー選手になることが夢で、ナショナルチームへの選抜キャンプに参加します。残念ながら選ばれませんでしたが、まだ15歳ですから、次も、その次もあるでしょう。
タシの性自認のことで驚くのは、父親がそれを、きっと前世は女だったのだと、ごく自然に受け入れていることです。母親がどう考えているかはわかりませんでしたが、兄ゲンボは、弟と話すように、女の子がどうのこうのと話したりしていました。
ゲンボは16歳、僧侶になって家の寺院の跡を継ぐかどうか迷っています。今は世俗の学校へ通っており、授業のシーンは英語で行われていました。
ゲンボの家は、代々続く「チャカル・ラカン」という寺院で、父親は、ゲンボに跡を継いで欲しいと願っています。映画ではよくわからなかったのですが、父親は僧侶ではないと言っていましたので、日本のお寺とは意味合いが違うものなのかも知れません。
父親に連れられて、僧侶になるための学校へ下見に行くシーンがあります。学校の担当者は、最近は生徒が少なくなったと嘆いていました。
父親も何度か、(ブータンの)文化を守らなければと口にしていましたが、どんどん西欧化の波が押し寄せているということでしょう。実際、ゲンボやタシもスマートフォンを持って Facebook を活用し、ゲームで遊んだりしています。僧院学校の生徒にネットは使えるかと聞いたりしていました。
ラスト、ゲンボがどういう選択をしたかはわからず終えていますが、ブータンという国の迷いそのものなのかも知れません。